この街で

21.Ki ページ21

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「ふぇっくしょいっ!!!」





ｺﾞｽｯ





自分のくしゃみの勢いと

頭が何かにぶつかった感覚で目が覚める





「寒いですか？」





俺の頭のすぐ上から聞こえてくる声





へっ？





慌てて声の方を向くと

藤ヶ谷さんがおはようございますって

優雅に挨拶をしてきたわけだけど……





えーっと？





自分の視線を藤ヶ谷さんの顔から

その周りへと移して俺はフリーズした





ちょっと待って！！！


俺、何で藤ヶ谷さんに纒わり付いてんの？


俺がぶつかったのは多分藤ヶ谷さんの胸


俺の腕は…………

藤ヶ谷さんの胴体を抱きしめてて…………


藤ヶ谷さんはそんな俺を腕枕っ！？？？





「腕、痺れてません？大丈夫ですか？」





身体を浮かしてベッドと胴体の隙間に

差し込んだ腕を抜くように促す藤ヶ谷さん





「えっと、あの……大丈夫です」





なんて嘘


はじめ感覚のなかった腕に

徐々にｼﾞﾝｼﾞﾝした痺れが襲ってきて

その痺れが長いこと同じ体勢でいたことを

俺に知らしめてくる





「俺、何かやらかしました？」





「…………いえ？」





妙な間で俺を見つめた後に

優しく笑いかけてくれた藤ヶ谷さん


えっ、絶対俺何かやらかしたよね！？





「ホントは何やらかしました？」





「ふふっ、特に何もやらかしてませんよ？」





ぜってぇ嘘でしょ！！


優しい藤ヶ谷さんの微笑みが

嘘くさく見えるのは俺の気持ちの問題！？





「じゃあ、この状態は……？」





「あーっ……、寝惚けた北山さんが

どなたかと間違えたのかと」





「えっ………」





やっぱりやらかしてるじゃねぇかっ！！





「ホントごめんなさい！！

引っぺがしてくれて良かったのに……」


「気持ち良さそうに眠っていたので……

俺も温かかったですし……ね？」





あぁっ！マジでごめんなさいっ！！！


藤ヶ谷さん優しいから

されるがままだったってことだよね！？


ってか、俺は誰と間違えたっつーんだ！？


抱きしめて眠るような相手なんて

残念ながらいないんですけど！？


何で何も覚えてねぇーんだよ俺……


たださ、他はホント何も覚えてないのに

ふっとスゲェ安心した瞬間があったのは

何となく覚えてる気がすんだよなぁ





それってもしかして……





俺が藤ヶ谷さんに抱きついた時だったのかな





すげぇ恥ずかしくって

穴があったら入りたい気持ちになったと当時に

何だか無性に心が擽ったく暖かくなった





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