薬指の約束

可能性 ページ11

穏やかな時間が流れる。

シンジュクとは違い、私の地元は田舎なので、のんびりとした毎日を過ごしていた。

地元に残っていた友人が何人か遊びに来てくれて沈んでいた気持ちも少しずつだが前向きになってきたように思う。

独歩のことを思い出すことはいまだに多いし、時には涙が溢れてきてしまうこともあるけど、前に進むためにはそれも必要なことだと事情を知った友人達は言う。




この涙にも意味があるのか、




そう思うことでまた一つ思い出にできるのだろうか。









「………おかーさん、きもちわるい。」



実家に戻って1週間。


家事も洗濯も母親がやってくれるという、幸せすぎる環境に身を置いて、たしかにゴロゴロしすぎていた。太ったような気もするけど、気にしないようにしていた。

ソファーに横になってテレビを見ていたら急に襲ってくる吐き気。
「えー、やだ、そこで吐かないでよ？」
なんて、あまり本気にしていないような声色でかえしてくる。



「……っ、といれ…」



口元を押さえながらよろよろとトイレに駆け込む。
吐きたくても吐けない




「ううー…きもちわるい……」




ずるずると座り込んで、はたと気づく。







…そういえば、月に一度のモノは最近きてたっけ。






頭が真っ白になるとはこのことだ。






…もしかして。









その可能性を確かめるために、
「…病院行ってくる。」と母親に告げて
家を出た。

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