涙雨 (ページ8)

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そんな感じに週1ぐらいのペースで来店してくれる北山さん。

この2ヶ月ぐらいでちょっとは北山さんのことを知れた気がする。実際はそんなことないんだろうけど。

このショッピングモールの近くのオフィスで働いていること。

お肉が好きなこと。
サッカーをしてたこと。
一人っ子なこと。

たわいもない話をしながら北山さんと本を選ぶ時間は最近の俺の唯一の楽しみだった。

でも、北山さんと出会ってからずっとなにか引っかかっているようなよく分からない気持ちが続いてる。

普段人にそこまで興味を持たない俺がなんで北山さんのことだけは気になるのだろうか。

北山さんに会いたいと思っているのか。

それが分からない。

いや、分からないんじゃない。
ほんとはもう薄々分かってる。

それから目を背けているだけ。

でもその気持ちを認めてしまうのは怖かった。

今の俺には無理だった。

北山さん、
何してますか。

何を

考えてますか。