tell me19 ページ20
福井「…今回の面接はオーナーに緊急の電話が入っちまってな、俺が面接を担当する」
適当な嘘を吐いて面接を開始する、彼女は履歴書を取り出すと俺に渡す、俺は履歴書を受け取ると目を通した…
…そして目を見開いた。
学歴欄に高校どころか小学校、中学校の経歴が書いていないのだ、嫌な予感が頭を過ぎったが、俺は書きたくないのか書き忘れの可能性もある
…だが、先程のやりとりで感じた言語力の低さと知識の低さを思い出し言い辛そうに口を開いた
福井「…あのよ、学歴は言い辛かったりするのか?」
「…私、学校に行ったことがないんです。」
福井「そうだったのな…わりぃな」
「…いえ、気になる点だと思いますし…」
福井「……次の質問行くな…キャバクラは未経験者なんだろ?また何でやろうと思ったんだ?」
「…愛が、知りたいんです」
福井「…愛?」
「…はい」
この容姿で?とかお前がそれを言ったら世の中どうなんだよ、とか色々と思うことがあったが彼女の目は真剣その物でからかっている様子などなかった
この業界なんて大半は愛という建前で汚い下心しかない欲望が渦巻いている、彼女のように無知な純粋な子なんてすぐに染まって狂っちまうのがオチだ…正直そんな彼女を見たくない
福井「…本気で愛が知りたいのか?」
「…はい」
福井「…悪いことは言わねぇ、止めておけ
この世界で愛の形なんて沢山だ、本物の愛もあるが、偽りや捻くれた愛だってある、思っていたのと違うとかで辞められても困る
…生半可に出来る仕事じゃねぇよ」
「その愛が見たいんです…
…私は初めて世間に出た時に愛を見ました、みんなとても幸せそうで羨ましくって…
そして初めて仲良くなってくれたドレスショップの店員の雅子さんに話をしました…やっぱり福井さんと同じことを言いました「世の中は汚いんだ、みんながみんな同じ愛で出来ていない、お前の考えではいつか騙されるぞ」とそしてそのみんながみんな違う愛を知りたくなって話を聞きました、そこでキャバクラのお話を聞いてそしてここのお店の話を、」
福井「…ちょっと待て」
「…はい?」
福井「ドレスショップの店員の雅子さんって、もしかしなくても荒木雅子さん?」
「そうですが…」
…俺は背中に冷や汗が通るのを感じた
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作者名:ちっぴー | 作成日時:2015年2月27日 1時