イケメンは恋愛対象外です。～fourth～【ＳＳ】【ＯＳ】 (ページ25)

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「いつからとか分かんないけどさ、でも、どれだけ「好きじゃない」って言っても「私は好きです！」って満面の笑みで追いかけてくるあの子に････いつの間にか、惹かれてた」

『････』

「佐倉は本当に良い子だったよ。つらい時も、悲しくてどうしようもなかった時も、俺の傍にいてくれた。「大野さんが好きだから」って、いつもみたいなふざけた感じじゃない、真剣な顔で････そう言って俺を支えてくれた。････本当に、良い子だった･･･」

『じゃあどうして「さようなら」なんて言ったの』

「佐倉を巻き込みたくなかった････とか、かっこいいことが言えたらいいんだろうけどな」

智の視線はいつの間にか満天の星空へと移っていて。

「Aを奪おうと必死にもがいてるかっこ悪い俺を見られたくなかった。自分よりもAを取ったんだ、って傷付くあいつの顔なんて見たくなかった。･･････こんな最低な俺を、好きでいてほしくなかった」

最後だけ消え入りそうな声だった。

本当に、今にもどこかへ消えそうなくらい。

「恋愛感情でないとはいえ、友達から彼女奪うって普通に考えたら最低じゃん？そんな男を好きにならないでほしかったから。松潤から今回の話聞いて幻滅してくれればいいなぁとか思ってたんだけど････」

『？だけど？』

「佐倉って本当に馬鹿だなって思ったよ。あいつ、今回の話聞いて俺に「話があります」って近付いてきたの」

話････。

って多分、私が翔くんと休憩室で話してた時だよね？

それ以外は私と一緒だったし、たまに離れてたけど
佐倉ちゃんは手が離せないくらい忙しそうにしてたし。

「色々説教されちゃって、最終的には泣きながら訴えかけられちゃって･･･そんな姿見たら、佐倉のためにも“薫でいること”を止めなきゃなって思った。本当、佐倉には頭上がんない」

『････智の気持ちを知ったうえでまだ好きでいてくれてるんでしょ？ならどうしてその時に告白とかしなかったの･･･』

「Aと一緒にいたいから」

『！！』

「今、佐倉と付き合ったところで問題は解決しないし、それに････「さようなら」って言ったしな」

いつもとは違うけど、優しい笑みで大きな手を私に差し出した

「もう後戻りはできないでしょ？」

『･････そうだね』

お互い、大事なものを捨てちゃったから。

だからもう、お互いしかいない。

ぎゅっと握った智の手は、少し熱を含んでいた。