大好きだった。【すとぷり】【るぅと】

s e v e n ページ8

龍くんが帰った後、私はせっせと準備をする。


今日は10時から、ファミレスでのバイト。


シフトの時間に起きれると、店長キレるから、急がないと。



家を出て、バスに乗ると、急に名前を呼ばれた。


こ「Aちゃーん！」


長い茶色の髪をポニーテールに縛ってる、この女の子は、私のバイトの友達。


新藤心っていう名前だから、ここちゃんって呼んでる。


ここちゃんは偶然同じ時にファミレスのバイトをはじめた上

同じ歳だし、

バスの路線も同じだから

すぐ打ち解けた。



『ここちゃんおはよー、なんか今日テンション高いね！』

ここちゃんは基本いつもハイテンションだけど、
今日は一段と落ち着きがない。

バスの椅子に座りながらも、足をぶらぶら動かしてる。


こ「うん！今日ね、今日ね、推しのグッズ買ったんだよ！」


えー、ここちゃんってなんかのオタクだったんだ。


『よかったね、推し誰なのー？』


あんまテンション高くない私。

昨日あんまり寝れなかったからね。


こ「すとぷりー！うちね、ころちゃんっていう人推してるんだよー！」


え、す、すとぷり？


すとろべりーぷろんすって、るぅとくんのグループじゃん。


るぅとくん…


るぅとくんの事は嫌い…

そう思い聞かせる。


でも思わず

『えー！？』


と口に出す。


ここちゃん、私の反応に嬉しそう。


こ「え、もしかして、Aちゃんもすとぷりすなー！？え、え、誰推しー？」


これに対してはなんて答えればいいかわからない。


ここちゃんを含め


私の周りに、私とるぅとくんの過去を知ってる人は誰もいない。


うーーん。


『うーん、前すこし推してた、メンバーの1人を。でも、もう降りてる。』


うんうん、いい答え。


こ「えーー！誰の古参！？私新規だからいろいろ教えて！って感じ今ファンしてないとかもったいないし！」


ここちゃん…

害悪みたいな反応やめて…


『それは秘密！もう過去のことやし。』



こ「ふーーん。あ、でも一緒にライブ行かない？
来月仙台くるじゃん。」


そうなんだ、仙台くるほどなんだ、るぅとくんは。

すごいな

仙台に来てくれる音楽アーティストって、

割とめっちゃだなー



でも、私はるぅとくんの事を忘れるって


決めてるんだ。


『だーかーらーもう私降りてるのー！』


それに対し

ここちゃんは子犬のような目で私をみた。


こ「チケ代払うから。お願い…？」



『…仕方ないね』

内心、楽しみだったのは


秘密ね。

e i g h t→←s i x

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す