海の歌姫、陸の歌人２ (ページ1)

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四十九話ページ1

あれからあっという間に3日経ち、私は許可をもらって陸に向かった。

姫は他の人が見ているはず。

たまには一人を楽しんで来いと許可された。

陸に上がればすでにまふまふは来てた。

姿が美しいからか、座っているだけなのにかっこよく見えた。

「…あっ…水蓮さん……こ…こんにちは」

『ああ、こんにちは…？

で…何を持ってきたんだ…？』

「今日はですねぇ、辛いお菓子を持ってきましたっ！」

そう言いながら袋から取り出す彼。

激辛の目印とも言える真っ赤なパッケージだ。

そして食べてみれば確かに辛い。

ハマってしまいそうだ。

「すみません…」

急に彼が謝ったことに驚いた。

彼の顔を見ると少し悲しそうな顔をしていた。

「ほんとは…、他にも色々あるから連れていきたいんですけど…

僕職業柄女性といるの見られたら大変で…」

『…そうなのか、まぁ大丈夫だ、一応は人間になれるから』

「そ…れは…そうです…けど…」

なぜそんなに悲しそうな顔をするのだろう。

私には理解できない。

「…一緒にお出かけ…して…みたかった…だけ……です…ごめんなさい…」

『…そうか』

「で…でも！いつかは…一緒に色んなとこ…行きたいです…えへへっ…」

『…あんたがおじいちゃんになる頃かねぇ？』

「なっ…！も…もっと早くですっ…！」

『…まぁ…私は気長に待つから安心しろ

どうせあんたより長生きだ』

「っ…」

生きる年月が違う。当たり前の話だ。

我々は人間ではない。彼らは人魚ではない。

わかっている。

だが……それが少し寂しく思ったのは初めてだった。