旅行、日曜日夜。2 ページ47
本当に隠してた訳ではないのだ。言いたかった訳でもないけど……
主『私の両親、事故でなくなってるんですよ、4歳くらいの時に。なので、ほとんど記憶にありません』
全員「「「!!」」」
主『父はハーフだったので父方の祖父母は海外にいるらしく、会ったことも見たこともありません。何処にいるかすら、知らないレベルで。
なので、唯一の親戚だった、母方の祖父に預けられる事になりました。
預けられるまで祖父にも会ったことなかったんですけどね』
詩「……、どうして?」
主『母が逃げ出したから、だそうです。』
裏「……逃げ出した……」
主『祖父は…「苛烈」という言葉を具現化したような人でした。
戦争時代の軍人で、戦後は警察の剣道の特錬員の師範をしていたそうです。
なので、預けられたその日から、祖父がなくなるまでの十年あまり、ずっと剣道を仕込まれました』
熊「………」
主『師範を引退後に祖母が亡くなったと同時に引っ越したらしいのですが
祖父の家は、それはもう驚く程の田舎で…
子どもなんて数人しかいないようなところでした。私、小学校の同級生いなかったんですよ』
苦笑
主『比べる相手が周りにいなかったので
学校から帰宅して毎日山道というか、獣道を何kmも走らされ、素振りして、乱取りして…みたいな、苛烈極まる祖父の修練が普通だと思っていました。
本当に毎日でした…。雨や雪が降っていようと熱が出ようと骨が折れていようと、毎日鍛錬させられました…。
今なら母が逃げ出したのも分かる気がします。
母の頃は田舎に住んでいなかったので、周りと比べておかしいって分かってたんでしょうね。
あ、別に虐待とかでは、ないと思いますよ!
近しいとは思いますが(笑)
衣食住に困る事はありませんでしたし、修練以外の時は普通に会話してましたし。』
詩「そーゆー問題じゃない気が…」
主『苛烈といえば…文武両道だっ!とか言って、例えば100点満点のテストで98点だったら満点に足りなかった点数分2発殴られるんです(笑)
なので、鍛錬の後、死にものぐるいで勉強もしました』
兎「笑える話じゃないよ?!」
主『今思えば、ですが、分かってたんでしょうね。祖父が死ねば天涯孤独の身。
強さも賢さもなければ、生きていくのに困るだろうって…
独りで大丈夫なように、独りで立っていられるように……
だから感謝してるんですよ。それでも、二度とあの鍛錬はしたくないですけどね!』
苦笑
池「Aさん…」
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作者名:カメリア | 作成日時:2021年11月2日 23時