ep176 ページ43
「如何いう心算だね?」
2人きりになった廊下で首領は尋ねた。目を合わせない彼に私は「何がでしょう?」ととぼけてみせる。
億劫そうに息を吸い込んで立ち止まった首領。私はその先を数歩行ってから止まった。
「君が今度のことに関わるのは感心しない。そう云った筈だが」
「それは貴方が決めることではないと私も云った筈です」
振り向かずして返した私の背中には鋭い視線が突き刺さる。私が地下牢から脱走したことを咎めているのだろう。
しかし彼の本心はそちらではない。彼の計算を狂わせたのは、私が自分の異能について彼等に明かしたことだ。
「外部に漏れればこのポートマフィアが根幹から揺らぐ。それが判らない君ではないだろう」
今までポートマフィアが固く秘匿してきた最終兵器の存在、そして私の異能の正体が知られたのなら……
「えぇ、判っています」
……否、判っていると云うより――……
「寧ろそれが狙いです」
振り向いた先の、険しい表情が目に映った。
現時点で首領が探偵社に手を貸しているのは、与謝野女医を得るという利益のために過ぎない。
「合理主義の貴方のことです。彼女が手に入らないと判れば、探偵社を《猟犬》に差し出す恐れさえある」
そうなれば、彼等はまさに
しかし翻って考えれば、そう……首領が彼等を差し出せないようにすれば善いのだ。云って仕舞えばそれだけのこと。
「今や彼等は私の異能を知る者です。軍警に差し出してはそれが明るみに出る可能性さえある。貴方はそれを甘受できますか?」
可能性が1%でもある限り、それを潰そうとする……それが首領の遣り方だ。
彼は探偵社を捨て置くことはできない。
「もう退路はありませんよ、首領。探偵社を救うか、或いは共に喰われるか――……二者択一です」
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ギラッフェ(プロフ) - こゝろさん» はじめまして。コメントありがとうございます!応援とっても嬉しいです!これからも宜しくお願いします。 (2018年12月23日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)
こゝろ - とっても面白いですね!これからも頑張って下さい!更新楽しみにしております!…あの、ドストエフスキーの一人称は「私」ではなく『ぼく』ではないでしょうか? (2018年12月23日 10時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます。お読みになりましたか!そうですよね、共有せずにはいられないほど衝撃的ですよね……。そろそろ更新しようと考えておりますので是非お待ち下さい。 (2018年12月17日 20時) (レス) id: 78a130b852 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 新刊読みました!!ヤバかったですね??この先の小説の続きも気になります!! (2018年12月17日 0時) (レス) id: 5a88057d9b (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - あやなさん、はじめまして。思いの込もったコメントをありがとうございます。こんなにも熱い応援をしてくださる方がいるんだと思うと胸が一杯になります。 銀魂の方も読んでくださってるんですね!本当に嬉しいです。これからも両作共々宜しくお願いします。 (2018年11月30日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年8月14日 9時