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ep143 ページ2

乱歩さんからの一報を受け、探偵社を訪れたのは快癒祝いの騒動から数日後のことだった。


最早見馴れたと云っても過言ではない扉の前に立ち、軽く叩敲をする。すると目の前の扉が開かれた。

私は正直、驚いて仕舞う。乱歩さんが誰かの為に扉を開けることもあるのか、と。
回転椅子でくるくる回り乍ら「入って〜」とか云いそうな印象だった……。


「こっち来て」と云われて付いて行くが、事務所はやけに静まり返っていた。


「他の方々は……?」

「外出中」


そうか、探偵社には通常業務をこなす責務もあるのだった……。如何しても彼等が“探偵社員”であることを失念して仕舞う。


辿り着いた先は医務室。勿論、与謝野女医も外出中で留守にしている。


「それで、私は何故今日此処に呼ばれたので――」





ガチャリ――……



乱歩さんが後ろ手に鍵を閉める音が聞こえて口を閉ざし、振り返った。

真意を探ろうとしても探偵帽の影になった表情からは何も読み取れない。


「……何故私を此処に?」

「君と話をしたいんだよ」


話をするだけなら態々鍵を閉める必要は無いだろうに……。
胸中で募る違和感を言い出せない侭、私は乱歩さんを見詰める。


「君は気になってるんでしょ?自分で記憶を消した経緯、そして方法……」


彼の纏う雰囲気がいつもと違う。


「それで僕なら解明できると思って相談して来たわけだ」


耳に触れる声が低い。


「なら取り戻してあげる。一番、手っ取り早く確実な方法で――――」



すっと伸ばされた彼の腕を私は本能的に避けた。



知っている……この感覚。


肺腑を直接握り潰すような……気道をきつく締め上げられるような……脳を乗っ取られるようなこの感覚を。







それは――――





 






ドストエフスキーだ。




 

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ギラッフェ(プロフ) - こゝろさん» はじめまして。コメントありがとうございます!応援とっても嬉しいです!これからも宜しくお願いします。 (2018年12月23日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)
こゝろ - とっても面白いですね!これからも頑張って下さい!更新楽しみにしております!…あの、ドストエフスキーの一人称は「私」ではなく『ぼく』ではないでしょうか? (2018年12月23日 10時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます。お読みになりましたか!そうですよね、共有せずにはいられないほど衝撃的ですよね……。そろそろ更新しようと考えておりますので是非お待ち下さい。 (2018年12月17日 20時) (レス) id: 78a130b852 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 新刊読みました!!ヤバかったですね??この先の小説の続きも気になります!! (2018年12月17日 0時) (レス) id: 5a88057d9b (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - あやなさん、はじめまして。思いの込もったコメントをありがとうございます。こんなにも熱い応援をしてくださる方がいるんだと思うと胸が一杯になります。 銀魂の方も読んでくださってるんですね!本当に嬉しいです。これからも両作共々宜しくお願いします。 (2018年11月30日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年8月14日 9時

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