happIness*2-36 ページ36
(翔side)
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ベッドの上に寝かせた後、
クローゼットの中を漁って、彼女の部屋着を取り出した。
数秒迷って、Aが着ている服に手を伸ばす。
ここで目を覚まされたらちょっと嫌だな、とか
そんなことを考えて、笑った。
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前空きのブラウスと丈の長いスカートだったので、
着替えさせるのはあまり大変ではなかった。
少し前まで、たまに甘えたい時に、
パジャマのボタンを留めてくれ、とねだって来ていたことを思い出す。
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声がでなくなってしまってから、甘えてくることもなくなった。
いつも、「大丈夫」と言って、笑って。
まるで、甘えることを忘れたみたいに。
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布団を口許まで被せて、
薬を探しにリビングに戻る。
アイスノンが冷凍庫に入っていたはずだ、あれも持ってこよう。
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リビングの机の上には、
今日の朝俺が書き残したメモがそのまま置いてあって、
ああ、今日も話を聞けなかった、とぼんやり思う。
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そして、
あぁ、あの週刊誌のことを、Aにも話さないとなぁ、とも思った。
本当に何もないし、勘違いも甚だしい嘘だらけのあの内容でも、
彼女がそう言う類いのものを意図的に遠ざけていても、
伝えておかないと、何かの拍子で知ってしまった時、
きっと傷つくだろう。
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Aの荷物を勝手に触るのは気が引けたので、
予備がありそうな場所を探る。
小さな棚の中から、使いかけの箱を見つけた。
大きく「頭痛薬」と書いてある箱の裏を読むと、
確かに小さな字で「悪寒・発熱時の解熱」と書いてある。
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「すげ、物知り」
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彼女のマネージャーに感心しながら、
その錠剤を1回分手に取り、キッチンへ向かう。
冷蔵庫の中からペットボトルを取り出して、
何か食べるもの……と中を覗いた。
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一口で食べられるゼリーを見つけて、それを3つ程手に取る。
ろくなものが入っていなくて、
彼女は休んでいる間、何を食べているのだろうと眉を寄せた。
冷凍庫からアイスノンを取り出して、タオルで包む。
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取り出したものを両手に抱えながら、
こんな風にAのお世話をするのは初めてかもしれないなぁ、と思う。
寝室へ戻ると、さっき寝かせた体勢とは少し変わっていて、
おや、とベッドへ近づいた。
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