happIness*1-14 ページ14
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「…お前それちゃんと食えよ」
「……うん」
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楽屋で、私のお弁当の中身をちらりと見た潤くんが呆れたようにそう言った。
皆の中身が、半分ほど減っている中、1/4も減っていない私のそれは、
何かおかしな魔法が掛けられているんじゃないかとすら疑ってしまう。
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「何、腹いっぱいなの?」
「うーん?」
「朝食べたの?」
「たべた、焼き肉も食べた」
「は?朝から?」
「…夢で」
「それは食べたって言わねーから(笑)」
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仕事ができる監視員付きなので、
私は仕方なく、冷たい唐揚げを口もとに運ぶ。
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「なに?Aもう体重落としてんの?」
「まだしてない」
「だよね、まだ時期はやいもんね」
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最後の一口のご飯を口に入れた相葉ちゃんが、
ごちそうさまでした、と手を合わせながら
渋々唐揚げを咀嚼している私を見て、にこにこと聞いてくる。
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「Aの断食のこと旬物みたいに言うのやめろや」
「私のダイエットのこと断食って言うのもやめて」
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ニノに、いっ、と歯を出して威嚇したら、けらけらと楽しそうに笑われた。
断食じゃなくて、あれは仕事に向けた体重調整だ。
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「いいから食えや、日ぃ暮れるぞ」
「お腹いっぱいなんだもん」
「朝なに食べたの?」
「パンと目玉焼き」
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半熟の目玉焼きが上手に焼けて、朝から少し気分がよかった。
私のパンにはいちごジャムを塗って、翔くんのパンにはブルーベリーのジャムを塗った。
我ながら素敵な朝食のプレートだったと思う。
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「あと、緑」
「みどり」
「翔さん、緑ってなに」
「サラダのこと」
「こわっ」
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翔くんにしか伝わらなかったらしい言葉に、
一番引いているのが誰とは言わないけれど、
私はそんな会話を聞きながら、3つ目の唐揚げと格闘していた。
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「ほれ、がんばれ〜」
「んは、応援が来た(笑)」
「がんばれ〜〜」
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隙を狙ったように、私の隣に座ったリーダーが、
ほにゃほにゃと笑いながら
なぜか応援の言葉を連呼する。
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「唐揚げ食べてるAもかわいいよ」
「全然嬉しくないんだけど(笑)」
「アンタほんとになんでも可愛いんだな」
「はい、頑張って〜〜」
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6人でいることが、楽しい。
この先もずっとある、私の居場所で、
ここに私が必要とされていることが分かるから、すごく安心する。
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これが当たり前だと、思ったことはないけれど、
これが幸せだということは、はっきりと言える。
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