宵闇の羽、羅刹の焔。弐【文スト】

第61話 ページ25

ミミック。
それが組織に噛み付いてきた集団の名前らしい。

武器庫を襲い、銃器を奪う。
その手口はこれまでに屠って来たどの組織よりも鮮やかだった。

当然、此方の人的被害も大きい。
先日海岸にあがっていた男達の亡骸も、彼らの仕業だとか。
まったく、物騒なことで。

とは言え仕事は仕事。
首領に命じられてしまえば動かない訳にはいかない。

今日はこれから尋問だったっけか。
対象は件(くだん)の組織の構成員。
情報の漏洩を防ぐ為か、追い詰められたとみるや否や自決する、厄介な相手と聞いているがどうやって捕らえたのやら。

「……ま、それはオレには関係無いことか」
奴等から目当ての情報を聞き出すのがオレの役目。
余計なことは考えなくていい。


「遅かったね"宵闇"」
もう君の仕事は無いよ。

呼び出された部屋の前には治が立っていて、此方を認識するとなんでもない事の様にそう言った。

治が背中を預けた扉の先、微かに鼻につく鉄のにおいはまだ新しい。

「……ころしたのか」
「想定外の事態が起こった様でね、お陰で私の仕事が増えてしまった」

これから調べ物をしないと、とこれ見よがしに肩を竦めて溜息を吐く姿も白々しい。

「どうせもう目星はついてるんだろ幹部サマ」
「まあ大体は、ね。

……君も備えておくといいよ、そろそろ向こうも派手に動くかも知れない」

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