振り向いて。【るぅと】 (ページ3)

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ねぇ。 2 ページ3

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「おはよっ」

ふいにぽん、と叩かれた背中。

後ろを向けば、小さい赤髪が目に入る。

顔を見れば満面の笑みを浮かべていて、なんだか眩しい。

「おはよ、莉犬。嬉しそうだね。なんかあったの？」

莉「んー？ふふふ、ききたい？」

「いや別に」

莉「あのね～～」

「始まっちゃった…」

莉「なんだよ、るぅとくんがなんかあったの？って言ったんじゃん！！」

そう言って隣で頬を膨らませる莉犬。

まぁ確かに、聞いたのは僕だ。

それでも聞く気はないから、横から流れてくる言葉を聞き流して教室の扉を開ける。

最初に目に入ってきたのは見慣れた蜂蜜色の髪。

丁度風が吹いたのか、細い髪がさらさらと目の前で靡いていた。

小さなその髪の持ち主はこちらに気づかず目の前の人物にはにかむ。

綺麗だな、なんて

いつの間にか見惚れてしまっていた

もう1人の青い頭がこちらを向けば、朝から教室内に大声が響く。

こ「二人とも！おはよ！！」

「おはようございます、ころちゃん」

莉「おはよ。今日も元気だね～～」

ころちゃんにつられたように小さな頭が振り向けば、ばち、と視線が合う。

僕は心臓が跳ねたが、相手はそんな様子もなく微笑んで

なんだか悔しいような気もした。

『るぅちゃん、莉犬くん。おはよう！』

莉「おはよ、A！」

「…………おはよ」

そう小さく声を出せば、ちゃんとしろよ、なんて莉犬に叩かれた。

僕は別にいいじゃん、と吐いて自分の席へ向かう

窓側の一番後ろ、僕の特等席。

ここからなら教室を見渡せるし、授業中にAを見ることも出来る。

だから席替えはしたくない

って、授業中に見るとかなんか変な奴みたいじゃん。

それより。莉犬がすっごい顔で睨んでくる。怖い。

あの可愛い顔はこんなにも黒くなるのか………

そんなことを呑気に考えていれば、大きな舌打ち。

いや怖いよ。

莉犬のそばにいたころちゃんとAは驚いた顔で莉犬を見る。

そしてすぐいつもの笑顔になって、何も無かったように話してた。

…………人ってこんなにも変わるのか

「…！」

視線を戻そうとした瞬間。

Aと目が合ったような気がしたけど、きっと気の所為だろう。

きっとまた妄想だ。

最近は妄想と現実の区別がつかなくて困る。

そろそろ重症だなあ、なんて考えながら

僕は机に伏した。