11話 ページ11
マサイside
＿＿＿＿マサイ｢…名前で呼んで欲しいかも｣
俺、何言ってんの。
言ってからめちゃくちゃ恥ずかしくなって、一気に体温が上がっていくのが自分でも分かった。
…気にくわなかったんだよ。
Aが｢お兄ちゃん｣って俺を呼ぶのが。
シルクのことはシルクで、俺のことはお兄ちゃん。
それを聞いたら、胸が痛くて痛くて。
こんなの初めてで、でも嫌で。
目の前に居る、濡れたAが苦しいほど可愛く見えて。
…こんなの、初めてだから。
｢なんか変だね、お兄ちゃん｣
マサイ｢…｣
｢急に一緒に暮らす？って言ってみたり、名前で呼んでって言ってみたり｣
Aの口がゆっくりと動いて、そこから少し高い声が漏れた。
心做しか、Aの頬が赤い気がするのはなんでだ？
…俺と同じ気持ちだから？
＿＿＿＿｢マサイくん｣
不意に呼ばれて、ドキッとうるさくなる胸。
俯いていた顔を上げれば、Aの黒くて大きな瞳とぶつかる。
バサバサと揺れる大きなまつげの隙間から、その瞳が確かに俺を捉えて、
2人きりだと言い聞かせる。
時が止まったみたいだ。
マサイ｢…ん｣
こんな素っ気なくしか返事が出来ない自分。
｢…マサイくん、おやすみ｣
マサイ｢ああ、おやすみ｣
＿＿＿＿静かに閉まったドア。
まだ煩い俺の心臓。
Aの通った後から香った、微かなシャンプーの匂いが俺の鼻を掠めた。
…いつの間に、Aは大人の女の人になっていたんだ。
今更そう気づいた。
今までは、別々の家に住んでいて、子供の頃と同じ環境だから気づかなかっただけ。
今日からは、違う。
同じ屋根の下に、Aがいる。
Aは、俺が思うよりよっぽど女の人だ。
＿＿＿＿マサイ｢…綺麗になったな｣
リビングに戻ってパソコンの前に座ると、思わず出た言葉。
あの、独特でミステリアスな雰囲気はちゃんと子供の時のままだ。
純粋な目も、ツヤツヤの髪も、赤い唇も、白い肌も、全部。
…なのに、昔と違うのはなんでだ？
…俺が昔と変わったから？
聞いたって、誰も答えてくれない。
誰も知らない。
誰も知らないのに、俺はその渦に巻き込まれて、
ただひたすら、
今日1日でAを笑顔にさせた、シルクに嫉妬した。
Aが、俺と居ても見せてくれないような笑顔をシルクに見せたことに、
…めちゃくちゃ嫉妬した。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←10話
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 388人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し56489号(プロフ) - いつ更新するのか…好きすぎてほんとやばい (2018年9月6日 13時) (
レス) id: b44e30921c (このIDを非表示/違反報告)
ウホホッ///// - 遅いよおおおおおおおおお (2018年3月31日 20時) (レス) id: 143626bbf8 (このIDを非表示/違反報告)
ウホホッ///// - 更新遅くない？大丈夫？ (2018年3月30日 7時) (レス) id: 143626bbf8 (このIDを非表示/違反報告)
ウホホッ///// - いつ更新するんや…好きすぎてヤババ (2018年3月28日 10時) (レス) id: 143626bbf8 (このIDを非表示/違反報告)
なたで胡子 - ｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞｧﾞ好きだ〜〜〜！！！！！gray22さんのほんと好きだ〜〜！！ (2017年4月3日 0時) (レス) id: 6e823ee613 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：gray22
| 作成日時：2017年3月24日 15時
