#20 空模様 ページ20
飲み終えたカフェオレを捨ててから冨岡先生に対面する。
『傘を忘れました』
冨岡「そうか。持ってないのだな」
『持ってないんです。下校延長届けも出しているので雨が止むまで学校にいることにします』
冨岡「消灯してしまうから帰るんだな」
冨岡先生から帰れの一点張りを聞いた私は制鞄とサブバックを持って下駄箱に行き、靴を履き替える。
うーん、やっぱ走らないと駄目かぁ。
雨が弱まるまで待っていたら、空はいつのまにか暗くなってしまった。
6時を過ぎてしまった。
制服濡れるのを覚悟でこれは走るしかないか。
いざゆかん!というとき、教員側の靴置き場で先生の姿が見えた。
なんと!巌勝さんだ!
『巌勝さん巌勝さん!!』
声をかけると傘をさして生徒下駄箱の方に来てくれた。
巌勝「……その様子だと、傘を忘れたのだな」
『察しが良くて助かります!!』
巌勝さんが鞄から折りたたみ傘を出すなり私に渡してくれた。
常備してるとか女子力高くないか!?
巌勝「入るといい」
『すみません!ありがとうございます!!助かります!!』
私はお礼を言って巌勝さんが貸してくれた折りたたみ傘をさした。
隣に歩きながら話す。
巌勝「雨の日は事務室にある傘の貸し借りが増すからな。Aのことだ。どうせ傘もささずに走って学校に来たんだろ」
『そこまで見抜いてたんですね……小雨だし行けるだろー!見たいなノリで朝走ってましたから』
巌勝「はぁ……明日からは天気予報だけでも確認してから眠るんだな」
『はい、そうします』
傘に雨粒が降り注いでいる。
『…ふふ、こうして二人で歩くのっていつぶりですかね』
巌勝「……十年ぶりだったか」
『ですかね』
空は真っ暗闇になってしまった。
街頭に照らされた巌勝さんの傘に付く雨粒一つ一つが輝いて見えた。
『こんな時間も悪くないですね』
巌勝さんは少し微笑んでくれた。
巌勝「ところで早く帰らなければ7時から雨は本降りになるぞ」
『えええ!?』
二人して水溜りを飛び越えながら家へと帰った。
後日、折りたたみ傘は巌勝さんに返した。
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ニケニケ - お久しぶりです。長い間、読むことが出来ず、申し訳ありませんでした。 更新ありがとうございます!お疲れ様です! (2020年7月1日 17時) (レス) id: 570015223c (このIDを非表示/違反報告)
ニケニケ - 返信してくださり有り難う御座います! あと、更新お疲れ様です。 これからも応援させて頂きます! (2020年5月23日 10時) (レス) id: ff2bd55984 (このIDを非表示/違反報告)
名無し61903号(プロフ) - ニケニケさん» コメントありがとうございます。私も継国兄弟推しなのでとても嬉しいです。頑張りますね。 (2020年5月21日 18時) (レス) id: f947700d9f (このIDを非表示/違反報告)
ニケニケ - 更新有り難う御座います! 次の更新も楽しみです! (2020年5月21日 11時) (レス) id: ff2bd55984 (このIDを非表示/違反報告)
ニケニケ - 追伸:私は巌勝(黒死牟)さん推しです! というか、まとめて継国兄弟推しですw (2020年5月19日 23時) (レス) id: ff2bd55984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年3月16日 0時