番外編4 ページ47
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「伊地知、最後に休みを取ったのはいつだか言えるか?」
「…えーと、……………あれ?」
悟の薄っぺらい無駄話に律儀に付き合う伊地知君に
唐突に硝子が声をかける。
「昼間診察した時に言ったろ、ストレス性の不調だって。ストレスといっても気分の問題じゃない。日々の無理や不摂生の蓄積をそう呼ぶんだ。」
「七月ごろから、お前がまともに休んでるのを見た覚えはないけどさぁ。九月中は一度も休日をとってないでしょ。」
彼が記憶を遡って思い出そうとするのを待たずに
少し真面目な顔をして話す2人。
この2人が他人を慮る発言をしていることに
口に付け、傾けようとしていたグラスが止まる。
そのまま様子を伺うと、この珍しい顔ぶれの飲み会の意図が何となく分かってきた。
「まあ…、人手不足ですから…」
「アタマ悪いこと言うなよ。体力の限界見極められないで倒れられたら、いよいよ人手不足でしょ。お前しか出来ない仕事どのくらいあるか考えろよ。」
「……へ?」
「伊地知。今日君を飲みに連れ出そうって言いだしたのは五条なんだよ。」
「ええ!?」
酔いも吹っ飛ぶような驚きに
悟を見て目を丸くする伊地知君。
彼のストレスの半分はこの男の所為のような気もするが
彼は気付いているのだろうか…
「倒れる前に疲れを自覚させようってだけだけどね。感動して泣いて良いよ伊地知。」
「感動っていうか、驚きですけど…。私そんなに疲れてるように見えました…?」
「重症だなって思ったのは、お前が埼玉の呪霊調査を担当しようとした時だよ。あれは元々新田が行く予定だった。」
「それは、…その、私は虎杖君たちとは気心が知れてますし……」
当時、彼は交流会の事故処理を担当していた。
私は実家に帰っていたので知らなかったが、
そういえば、東京に戻った時にやけに恵達の状況を詳しく知っていた。
ただ仕事に熱心だと気にも留めていなかったが
やはり高専の先輩としても付き合いの長い悟は不自然さを感じていたのだろう。
少年院の件、
里桜高校の件、
きっと、部外者の私には分からない苦悩が彼の中にはある。
ただでさえ、人を殺す呪いの現場に子どもを連れて行くというのは
重圧も葛藤も大きい仕事だ。
そして守れる力を持てなかった自分を
責め、憤る気持ちなら私も理解できる。
それでも自分を律し、呪術師を助け、支える。
本当に、補助監督には頭が上がらない。
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妃 - すごく素敵な作品でした!個人的にその後の恵を見たいです。続編も楽しく読みます。 (2020年11月27日 20時) (レス) id: edafa70660 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初めまして。昨日の夜からこのシリーズ全て読ませて頂きました、振り回される五条凄く好きです、主人公も好きです…!こちらは完結でしょうか?もし続きあれば楽しみにしています! (2020年11月17日 11時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - とっても面白く、素敵な小説で何回も読み返しています(><)!!アンケートの件ですが「チューベローズの初恋 続」後の9年間のお話を希望します...!!! (2020年10月18日 1時) (レス) id: ff2316c362 (このIDを非表示/違反報告)
SS(プロフ) - 9年後のお話希望です!新しい方のお話とも悩んだのですが、まだチューベローズの五条悟が読みたいです、、! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 9f946892a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆで卵(プロフ) - 度々コメント失礼します!チューベローズの初恋 短編集を読んでみたいです…!!!元許嫁のお話もとても面白そうで悩んでしまいましたが、チューベローズの初恋をもっと読みたいなと思いました。新しい作品も応援してます!! (2020年10月17日 0時) (レス) id: 18a070aa90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年5月23日 12時