番外編3 ページ46
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「これで完璧。いる?」
『大丈夫。』
新しく注文したジョッキのメロンソーダにデザートのバニラアイスを乗せて
満足そうにストローで混ぜる悟。
唐揚げをつまみながらソフトドリンクを飲み干す様子は
数年前に子どもの世話をしていた頃を思い出す。
…いや、
恵は生姜を乗せとけばだいたい喜んで食べていたか…
『あっ、美味しいねコレ。』
「でしょう?日本酒にも合いますよ。」
『いいなあ。私も頼もうかな…』
硝子と伊地知君が食べていたチーズに酒盗を乗せた料理を分けてもらい
お酒が進みそうな濃い味に残っていたビールを飲み干す。
仕事終わりの若干疲労が残る体を気遣って強いお酒は控えていたが、
目の前の二人に誘惑されてメニュー表を手に取ってしまった。
「えー、チーズに塩辛いものを乗っけるその感覚僕分かんないな。チーズってどっちかっていうとお菓子の国の住人じゃない?本来結ばれるべき許嫁のスコーンから奪われて、無理やり呑兵衛国に連れてこられた感じしない?ねえAさん。」
『んー。…うん。』
豊富なラインナップに気を取られて話半分に返事を返すと
不満そうに掘りごたつの下で足でちょっかいをかけられる。
注文を終え機嫌を取るために向き直ると
満足そうに手を繋ぎ喉を鳴らして笑っている。
これで素面なのだから、彼には酒など必要ないのかもしれない。
『ご飯食べられないんだけど…』
「僕が食べさせてあげるよ。はい、ポテサラ。」
『もつ煮がいい。ねぎ多め。』
「はいはい。」
ポテサラは自分の口に運んで
要望通りのもつ煮が箸で取って運ばれる。
だらけてはいるが所作にどこか品があるのは、
やはり彼が五条家という屈指の良家の出身だからなのだろうか。
「おいしい?」
『……。』
絡めた指をなぞって遊ぶ。
綺麗に整った顔が緩んで、首をかしげる。
これほど愛おしそうに見つめられると、
もう何年も一緒にいるとはいえ
さすがに照れる。
「たまには外で食べるのもいいね。まだ新婚旅行も行けてないし、そろそろ予定立てないと。」
『でも休みなんかくれないでしょ。それより、うちのお墓には挨拶してくれたけど、私はそっち行かなくていいの?』
「いいよ。籍入れたことはもう伝えてあるし。あんまりAさんを京都に連れて行きたくない。」
『………?』
「僕の妻をじろじろ見られると殺したくなるから。」
『……こわ。』
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妃 - すごく素敵な作品でした!個人的にその後の恵を見たいです。続編も楽しく読みます。 (2020年11月27日 20時) (レス) id: edafa70660 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初めまして。昨日の夜からこのシリーズ全て読ませて頂きました、振り回される五条凄く好きです、主人公も好きです…!こちらは完結でしょうか?もし続きあれば楽しみにしています! (2020年11月17日 11時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - とっても面白く、素敵な小説で何回も読み返しています(><)!!アンケートの件ですが「チューベローズの初恋 続」後の9年間のお話を希望します...!!! (2020年10月18日 1時) (レス) id: ff2316c362 (このIDを非表示/違反報告)
SS(プロフ) - 9年後のお話希望です!新しい方のお話とも悩んだのですが、まだチューベローズの五条悟が読みたいです、、! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 9f946892a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆで卵(プロフ) - 度々コメント失礼します!チューベローズの初恋 短編集を読んでみたいです…!!!元許嫁のお話もとても面白そうで悩んでしまいましたが、チューベローズの初恋をもっと読みたいなと思いました。新しい作品も応援してます!! (2020年10月17日 0時) (レス) id: 18a070aa90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年5月23日 12時