番外編5 終 ページ48
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「献身的で泣けてくるね。でも悠仁はもう、伊地知が思ってるほど子どもじゃないし、半人前でもない。思いやりと過保護は違うんだよ。どちらの為にもならない。」
中指を親指で押さえるようにして、
右手を伊地知君の額に向ける悟。
もう自分の役目は終わったと言わんばかりに
酒を注文する硝子。
その隣で目を細めて痛みを迎え入れる姿勢の彼は余計に気の毒に見えてきた。
「お前が気に病まなくても、悠仁はもう大丈夫だよ。」
ぱちん、と
強めのデコピンに赤くなった額を押さえる伊地知君。
黙り込んで何かを耐えるように俯いている。
リンゴなど軽々と握り潰せそうな男のデコピンはさぞ痛かったろう…
「…………」
『……?』
「…………………五条さぁぁぁん…っ」
「うわキショッ、デコピン一発で泣くなよ大人が」
「伊地知は泣き上戸の気があるのかもな。」
『可哀想に…。』
新しいおしぼりを渡すと
泣きながら受け取り、更に泣き啜る。
大人が号泣している姿を久々に見た。
『ほら、いい子いい子。』
「ぅ…あ"り"か"と"、…こ"さ"い"…す"」
腕を伸ばしてポンポンと垂れた頭を撫でると
かなり崩れた泣き顔でお礼を言われる。
「ねえちょっと、僕だってそんなに頭撫でられたことないんだけど。」
『弱ってる男の子って弱いんだよねぇ。慰めてあげたくなる。』
「こんな良い男を隣に座らせといて?」
『………。それ今関係ある?』
「いい加減男をその気にさせるような真似はやめてくれない?どんだけ僕が牽制してるか知らないでしょ。」
『そんなに怒る?…そもそもあんまり身に覚えがないんだけど』
「はあ。この前も調子乗った若い術師がAさんってイメージと違って案外可愛い方ですね。って僕に話しかけて来たよ。危うく呪霊と一緒に祓うところだった。」
『うーん……。でも、モテる奥さんは自慢じゃないの?』
「僕の場合は僕の許可なく勝手に見られるのも話しかけられるのも我慢ならないしそもそもこの僕がいるにも関わらず自分にも機会があるって一瞬でも勘違いしてると思うともう殺していいと思ってる。自慢じゃないよ。僕が惚れてて愛してるんだからもうそれでいいでしょ。」
『………すごいな。』
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妃 - すごく素敵な作品でした!個人的にその後の恵を見たいです。続編も楽しく読みます。 (2020年11月27日 20時) (レス) id: edafa70660 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初めまして。昨日の夜からこのシリーズ全て読ませて頂きました、振り回される五条凄く好きです、主人公も好きです…!こちらは完結でしょうか?もし続きあれば楽しみにしています! (2020年11月17日 11時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - とっても面白く、素敵な小説で何回も読み返しています(><)!!アンケートの件ですが「チューベローズの初恋 続」後の9年間のお話を希望します...!!! (2020年10月18日 1時) (レス) id: ff2316c362 (このIDを非表示/違反報告)
SS(プロフ) - 9年後のお話希望です!新しい方のお話とも悩んだのですが、まだチューベローズの五条悟が読みたいです、、! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 9f946892a2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆで卵(プロフ) - 度々コメント失礼します!チューベローズの初恋 短編集を読んでみたいです…!!!元許嫁のお話もとても面白そうで悩んでしまいましたが、チューベローズの初恋をもっと読みたいなと思いました。新しい作品も応援してます!! (2020年10月17日 0時) (レス) id: 18a070aa90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年5月23日 12時