東卍だろうが何だろうが鉄骨娘はひるまない

不快 ページ3

「くっだらな」

釘崎としてはほっとけない案件ではある
こんな不快極まりないことは大嫌いだ

だが同時に黙って殴られてる弱い男も大嫌いだ
通りすがりの他人にどうこうするつもりはない

自分はそこまでお人よしではないのだ

こちらにメリットは一ミリもない
というかこっちは変な面倒事にに首を突っ込んでいる暇はない

一秒でも早く元の場所に戻るのが先決だ

そう判断しそのままこの場を通り過ぎる
だが、自分で判断したのに頭のもやもやは晴れなかった

何もかもに反吐が出る

平気で自分の力を他人を傷つけるのに使う奴も

それに指さして笑ってる奴も

黙ったまま反撃しない奴も









なによりそんなクソったれなことを見てみぬふりをしようとしている自分も


「これはあいつらのためじゃない。私が私であるためよ」


ゆっくりと一度通り過ぎた場所を振り返る

どう締めてやろうか考えながら

足を進めようとしたところでその足は数歩でピタリと止まった

目の前の先程とは変わった光景に口角が上がっていくのが分かる


そこには先ほど黙って殴られていたパツキンと打って変わって弱い奴なりに必死で食らいついている姿だった

ガムシャラにしがみついている姿はお世辞にもきまっているとは言い難いが、度胸がある奴は嫌いじゃなかった

「東京卍會、将貴。俺を倒すには・・・殺すしかねぇぞ・・・ぜってぇ負けねぇ・・・！」

呆れた。最初のほうにぼっそぼそ言ってた声は聞こえなかったが、パツキンの覚悟は聞こえた


「ほんっと馬鹿ね。勇気と無謀をはき違えてんじゃないわよ

・・・・・悪くはないけどね」

呆れてため息が出る

まぁいい。これからアイツがどうすんのか見てやろうじゃない

ここで私が出るのは野暮っていう奴だろう
アイツはどうするつもりなのか？
見たところ喧嘩が得意というふうには見えない

策があるのかないのか、おそらく後者だ

相手の方はどうかと、いままで一方的に殴りつけていた男に視線を向ける



「バッドもってこい！上等だ・・・殺してやるよ」

相手側の声を聴いて一気に頭が冷たくなった

上がっていた口角が徐々に下がっていくのが分かる
どうやら相手側は不快極まりないクソ野郎だったらしい
おそらくタイマンでの勝負でバッドを使おうとするとは、

ほぼ無意識で足元に転がっていたボールを声が聞こえた方向に思いっきりぶん投げた
それは勢いよく狙っていた奴のこめかみにクリティカルヒットした

こういう卑怯な奴は気に食わない

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