Lust 色欲の目覚め ページ9
ーー両親の葬式が行われたあの日、誰もいない裏庭で泣きじゃくっていたロイに、『そいつ』は話しかけてきた。
『一度に二つも失うとは、哀れな子供だな』
突然聞こえた声にロイはビクリと肩を震わせた。
「だ、誰……?」
『我はルスト。色欲を司る悪魔だ』
「しき…よく…?」
涙で潤んだ視界を声のする方へ向け、首を傾げる。
『色欲とは愛だ。誰かに強く愛されたい、誰かを強く愛したい、それが色欲の始まりだ。
そして、お前は自分を愛してくれる人を二人失った。これから先、お前を愛してくれる人は現れない』
それは幼い子供にはあまりにも残酷な言葉だった。まして両親を失ったばかりのロイの心には、毒牙のように刺さる言葉だった。
「な…んで…」
『それはいつか分かる。それよりも、今のお前には大事なものがあるだろう?』
「大事なもの…?そんなの分かんないよ…」
無数の涙で頰を濡らしながらロイは首を横に振った。今のロイには正体の知れぬ声よりも、優しい両親が戻ってきてくれることが大事であった。
だが、
『…お前を愛してくれる人の存在、必要としてくれる人の存在だ』
「……!」
その一言に、はっと目を見開き、声のする方を見る。
『我と契約すれば愛が手に入るぞ……どうだ、契約しないか?』
「契約……どうすれば出来るの?」
『簡単だ。お前の眼球に我を住まわせてくれれば良い』
「僕の…目に?」
『安心しろ、お前の視力を殺すことはしない。…どうだ、契約する気になったか?』
幼い脳で一生懸命考え抜いた末、ロイは結論を出した。
「…僕、契約する。その代わり、絶対一人ぼっちにならないようにして…!」
それが悪魔との出会い、そしてーー
『悪堕ち』の始まりだった。
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結城 - 面白いからしただけだよ!? (2019年4月1日 9時) (レス) id: 9cf5f7dc68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だるうさ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/feif051019/
作成日時:2017年4月2日 14時