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MoonDust_7 ページ9

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貴「……え、いりません。」




こんな、初対面の人と連絡先交換したって絶対すぐ話さなくなるし。




簓「……自分、友達おらんやろ?」




貴「…いませんけどなにか?」





確かに、私の性格上友達なんか居ないけど、


ドストレートすぎるでしょ。




簓「なら、俺が友達1号ってことでええやん?」




貴「なぜ。」




優しいとは思ったけど、ちがうな。


この人たぶん、お節介なだけだ。




簓「友達おらんのやろ?俺がたった今から友達や!」




ただでさえ細い目を更に細くして笑う白膠木さん。


理解してくれない友達なんて欲しくないって思ってたけど


なんか、この人なら受け入れてくれそうな感じがする。





貴「…面接に受かったら、来月の10日にこっちに
引っ越してくる予定です。15時頃にこの駅に着きます。
その時まで白膠木さんが私のことを覚えててくれて、
この駅で会うことが出来たら連絡先交換しましょう。」




どうせ、来ない。


分かってるから提案した。


こんな捻くれ者に友達なんかいらない。


友達なんか出来ても振り回すだけ




簓「なんや、Aちゃん駆け引き上手やな〜
ますます気になってきたわ。
絶対、連絡先交換することになるで?」




どこからそんな自信が。


来月の10日なんて、まだ1ヶ月も先だ。


どうせ忘れる。




貴「はいはい、絶対忘れますよ。」




簓「なにゆーとんねん、俺記憶力だけはええねんで?
それに、Aちゃんみたいに中々笑わん子はな、
意地でも笑かしたくなるから絶対忘れんよ」




絶対…


忘れるとは分かってるけど、少し期待しちゃう自分がいる。


私は、親ですら見放すようなダメ人間なんだよ?





貴「…あなたみたいな人に私は釣り合わないと
思いますけどね。」




私なんて白膠木さんみたいな眩しい人には見合わない。


型にはまらない自由な生き方とは自分で言ってるけど、


私は逃げ続けてるだけだから。


呟いた声は雑踏に消える。




簓「まぁ、そゆことやから!
また一ヶ月後にやな!ほなな〜!」




貴「…」





軽く会釈をして、白膠木さんの小さくなる背中を見送る。


期待しちゃだめだ。


でも、


なんだか、胸の奥がポカポカする。





貴「……早く寝よ。」





ベッドに入って思い出すのは白膠木さんの細い目。


しかも、笑ってさらに細くなった目。


胸が熱い____。





貴「面接受かればいいな。」





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作者名:夢乃叉優芽 | 作成日時:2023年3月11日 22時

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