MoonDust_19 ページ21
.
思い出すと懐かしい気持ちでいっぱいになる。
あの時の銃兎さん、すごくかっこよかった。
初めて信頼できる人だと思った。
あの後からほぼ毎日この公園に通って…
来ない日もあったけど、理鶯さんと知り合ってからは
理鶯さんが来てくれることもあって…
銃｢…泣いてんのか？｣
貴｢…あ、なんでだろ。｣
銃｢…ったく、そんなんで1人でやってけるのかよ。｣
貴｢大丈夫。もう、大阪で友達もできたから｣
心配してる銃兎さんを安心させるべく、まだ友達にはなってないけど、
友達ってことにして白膠木さんの話をした。
銃｢…友達？男か？｣
貴｢うん、道に迷ってたら助けてくれて、
たこ焼きも奢ってくれた。すごくいい人だよ｣
銃｢…はぁ、あんまホイホイ着いてくんじゃねぇよ。｣
銃兎さんは安心するどころか、ため息までつく始末。
貴｢いや、でも、初対面の人間にあんなに
親切にしてくれる人に悪い人は居ないよ…｣
銃｢お前、警戒心無さすぎるぞ。
自分が年頃の女ってこと忘れんな。
横浜でならともかく、大阪となると
守ってやれねぇからな。｣
貴｢うん、大丈夫。｣
銃｢…ったく、その自身はどこから湧いてくんだよ。｣
貴｢ははっ、あ、そろそろ帰らないと｣
銃｢今日はもう遅いから送ってやる。
乗ってけ｣
銃兎さんはいつもこうだ。
口悪いし、少し馬鹿にしたような感じのする喋り方、
だけど、誰よりも私を心配してくれる。
でも、もう甘えちゃダメなんだ。
貴｢…ううん、今日はいいよ。
歩いて帰る｣
銃｢…。ガタガタ言ってねぇでいいから乗れ。｣
貴｢うわぁ｣
強引に後部座席に荷物ごと押し込まれる。
貴｢いいのに…｣
銃｢お前が良くても俺が良くねぇんだよ。
…それに、しばらく会えねぇんだしな｣
ボソッと呟くような銃兎さんの声。
車のドアが閉まり動き出す。
特に会話も無いまま、程なくして家に着いた。
貴｢銃兎さん、ありがとう｣
銃｢…礼はいい。｣
貴｢はは、じゃあ、おやすみなさい｣
ぺこりとお辞儀をして家に入ろうとドアに手をかける。
しかし、それは銃兎さんの手によって阻止された。
銃｢いいか、よく聞いとけ。
俺も理鶯もお前の帰りを待っている。
たまには顔見せに帰って来いよ。｣
貴｢…うん！｣
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢乃叉優芽 | 作成日時：2023年3月11日 22時
