第9話 『ねーちゃん』 ページ9
開けられている体育館の頑丈な扉を潜ると見えてきたのは、休憩中だろうか、バスケコートの外にあるベンチや、テープの貼られている床に座り込んでスポドリを飲んでいる男子たちの姿。その傍らには恐らく大我の言っていた《監督》さんらしき茶髪の可愛らしい女の子の姿も見えた。
大我が体育館に足を踏み入れると、真っ先に振り返り呆れたような顔をしたのは、女子ウケしそうな整った顔立ちの黒髪の男の子だった。
「おい、火神。どこ行ってたんだよ?」
火神「スンマセンっ! あの、カントク!」
「なによー、急に消えたりして。いったいどういうつもり? ……ん?後ろの人は?」
大我の大きな体で私の姿は見えていなかったらしい。
大我が一歩横に動き、彼らに私を見せた。
火神「俺のねーちゃんなんだけど、見学させていいか……ですっ」
沈黙。
「「はあーーーー!!? ねーちゃんん!?」」
「マジかよ……お前ねーちゃんなんていたのか……!」
「全然似てねえな……」
「つーかこんな美人がねーちゃんとか羨ましすぎるっ……!」
「いーな火神死ねばいいのに……っ!!」
やはり、男子高校生は騒がしいというか、元気だな。運動部であるなら尚更だ。どうやら私と同じクラスの人はいないらしい。
「そ、そりゃあ見学は勿論大歓迎だけど……」
火神「よっし! じゃあA、見ててくれよな!?」
キラキラと輝く赤い瞳で私を見下ろす大我。その瞳は、アメリカにいた頃と全くと言っていいほど変わりがなかった。
『ふふっ、分かってるわよ。ちゃんと見てるから』
その前に、ちゃんとバスケ部の人たちに挨拶をしなければ。
大我に向けていた体を少しずらし、こちらを凝視するバスケ部員を正面に真っ直ぐ見つめる。
『初めまして、二年の雪村Aといいます。今日、この高校に転校してきました。今日はよろしくお願いします』
頭を下げると、《監督》さんはにこやかに言った。
「バスケ部監督、相田リコです。こちらこそよろしくね。あ、敬語はかたっくるしいから外してくれると助かるわ。同い年なんだし」
『じゃあ遠慮なく。リコちゃんって呼んでもいいかしら?』
リコ「勿論! 私もAちゃんって呼ぶわね」
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ゆのん(プロフ) - 更新待ってます! (3月15日 14時) (レス) @page14 id: 9b31ba286d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年3月2日 11時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 今井 明希さん» コメントありがとうございます。読者の皆様のお言葉に甘えまくっている現状に、無理せずという言葉嬉しかったです。これからもご愛読のほどよろしくお願い致します。 (2020年2月2日 6時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - SAOも好きなのですが、黒バスも好きです!レイさん、更新無理せず、頑張ってください! (2020年2月2日 4時) (レス) id: efc9537302 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - CaLMeさん» コメントありがとうございます。私事優先と仰って下さり、作者は少なからず救われております。これからも応援よろしくお願い致します。 (2019年9月5日 16時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2018年5月26日 14時