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それから、僕たちなりに原因を探してみた。街の人に聞いてみたり、火貂組の組長さんの所に行ったり、他ディビジョンの人に聞いてみたり。
そうしているうちにわかったことが二つある。
ひとつはこれはヨコハマの人みんなに起こっている事件だということ。
もうひとつは、ヨコハマ以外で兎の耳が生えてきた人はいないということ。

僕たちが調べまわっていると、銃兎さんから連絡が来た。どうやら、予想通りとでもいうべきか、理鶯さんも同じ状態らしい。
一度情報を整理するために、兄さんの事務所に集まろうという事になったので、僕たちは一足早く事務所へとやってきていた。

「あー疲れた…」

ソファにどかっと腰かけた兄さんが、天を仰ぎながら呟いた。
僕も既に体力がほとんどなくなってしまっていた。いろんなところを歩き回ったせいだろう、足が痛くて仕方がない。
そして、削られたのは体力だけではなく精神力の方もだった。組長さんに会いに行くときは無条件で緊張するし、兄さんと一郎くんがすぐに喧嘩を始めるから、いつになく神経をすり減らした。

『…ふう』

兄さんの隣に座って一息つく。
数分後、頭に兎耳をはやした銃兎さんと理鶯さんが現れた。兄さんはそんな彼らを見ると、お腹を抱えて笑い出した。

「っはははははは!おい銃兎、んだよその耳!ははははは!」
「うるせぇな、テメェもおんなじモン生やしてんだろうが!」

ここまで大爆笑している兄さんを見るのはいつぶりだろう。多少馬鹿にしたりはしそうだったけれど、ここまで笑うとは思わなかった。
ひとしきり笑って満足したのか、兄さんは笑いすぎて出てきた涙を拭い、お二人に座るよう促した。

「おら、さっさと座れよウサちゃん」
「チッ…」

鋭い舌打ちが響き、お二人もソファに腰かけた。

「A、どうして室内なのに帽子を被っているのだ?」
『ああ…兄さんに襲われると危ないから被ってろって言われたので』
「お前…」
「しゃーねーだろ、かわいいんだから」
「いや、Aくんがかわいいのはわかるが…」

23の男が頭に兎耳生やしてるののどこがかわいいんですか…?

「それで、何か分かったことはありましたか?」
「ああ。この事件はヨコハマでしか起こってねえ」
『逆にヨコハマでは全員が被害に遭ってるらしいです』
「ヨコハマだけが被害に遭っている、か…」

四人で真剣に考えるも、解決の糸口も、この事件が起こった原因もわからない。
この事件を解決できるのかさえ、わからない。

終わり ログインすれば
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作者名:眠兎 | 作成日時:2022年1月6日 21時

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