雪降るドイツの探偵卿 (ページ13)

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仕事について２ページ13

「ＲＤ。ドイツではオーロラが見られないよ。」

　わたしもそれは思った。でもＲＤさんのことだ、きっと何か考えてるんだろう。

『その点は大丈夫です。あと４日と１２時間３７分後に大きな磁気嵐が起こるんです。そのとき、ドイツでは肉眼でも赤いオーロラが見られますよ』

　ＲＤさんは得意そうに言った。赤いオーロラ…。きっと、綺麗なんだろうな。
　そんなふうに想像して楽しんでいると、クイーンさんの声がそれをさえぎった。

「じゃあ、オーロラ見物はスウェーデンでになるかな。２人はどこがいい？キルナ？それともアビスコ？ユッカスヤルヴィで雪と氷のホテルに泊まるのもいいよね！」

　クイーンさんの目はキラキラと輝いている。それこそオーロラのように。

「オーロラが見えるところって条件を入れたのも、結局は観光したいからなんですね」
『もう少し真面目な理由で選ぶことはできないのですか？』

　ジョーカーさんとＲＤさんの言葉は、北極に吹く風よりも冷たい。

「せっかく昨日の夜遅くまで調べたのに……」
「やっぱり夜更かししていたんですね。怪盗は夜の住人だ、とか何とか言って、あなたはいつも夜更かしをしてますよね。そう言うのならしっかり仕事をしてください」
『それでは、昨夜は昨日届いたあのＤＶＤを見ていたんですね。あれはただの娯楽のためのものです。調べていた、とは言えませんよ』

　墓穴を掘ったクイーンさんは、その言葉で食らったダメージを癒してもらいに、猫たちの中にしゃがみ込む。

　何はともあれ、クイーンさんが仕事をしてくれることになった。
　わたしが来た日から、今日でちょうど１０日目。クイーンさんに対するイメージは、とっくの昔に崩れ落ちた(もちろん悪い意味で)。
　今回の仕事で、クイーンさんの素敵な面が見れたらいいな……。