107 / 再燃する後悔 ページ15
side O
肩に顔を埋めるニノの背中を
潤は、ずっと優しく撫でていた。
ひく、と
ひとつ、ニノの肩が跳ねる。
少しだけ、潤の撫でる手が止まる。
再開された撫でる手は、少しだけ、力が籠っていた。
「………ニノ、苦しくなっちゃうよ」
「…………にのくん、だったくせに」
「ふふ、それむず痒くなるんだもん」
そんなこと言っちゃったら。
あぁほら、戻ってるんだって実感して
また、泣いちゃうじゃん、ニノ。
「……ふふ、ほら目真っ赤になっちゃってる」
やっと肩から顔を上げたニノに
彼は、困ったように微笑む。
その綺麗さに、少しの儚さに
ニノの顔が、そっと歪む。
「ごめん、………ごめん、潤くん……っ」
ずるずるとしゃがみ込む。
後悔で歪む顔が、両手で覆われる。
「謝んないでよ…、大丈夫だから」
「潤くんだけに…っ、こんな、リスク背負わせて…っ」
同じようにしゃがんで摩る潤だけど、ニノの謝罪は止まらない。
彼から、そっとヘルプの目配せがやってきた。
「最初もこうだったの、ずっと謝っちゃって」
「俺だけ普通に助かっちゃったってね」
「ニノだけでも無事でよかったって俺らは言ったんだけど」
「ふふ、そんなに慰められてるのに」
ふたりの周りに3人でしゃがみ、そっと摩りながらそう話すけれど
その間も、ひくひくと動く肩は止まらない。
潤と、困ったような笑みが重なる。
「僕が思い出せたのはさ、ニノのおかげなんだよ」
「そうなの？」
「うん、ぴりぴりする痛みがあったでしょ、頭痛」
「うん、」
「それがね、ニノと手を繋いだときだけだなって気づいて」
「あ……それが、俺が夜行ったときのこと？」
「うん、そのあとどうしてだろうって考えてたら…、ね」
4人でニノを摩りながら交わした会話の中で
こんな大切な話をさらっと言っちゃうんだもん。
相変わらずだね。
本当に戻ってるんだね。
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2022年5月22日 18時
