106 / 僕よりも貴方が ページ14
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もういいか、って
そう思った。
心の底から不安そうな、心配そうな顔をする相葉くんを見て
まずはこの人たちに言わないと、って。
記憶戻ってるよって、
いろいろなことを置いておいて言わないと、って。
僕をずっと心配して支えてきてくれた人たちだから、
言わないと。
「潤っ、」
「潤、！」
夕焼けに染まる部屋に、ふたりが駆け込んでくる。
いつもしてくれていたノックはなかった。
やっぱり、こっちのほうがいいね。
僕に忘れられて遠慮するみんなを思い出すと、
少し苦しいから。
「ふふ…、ごめんね、ありがとう」
さっきの相葉くんと同じように、
勢いよく抱きしめられる。
「翔くん、リーダー、ちゃんと覚えてるよ」
うん、うん、って
僕の肩付近で何度も頷く彼らは、震えてる。
また、ノックなしに扉が開く。
そこには彼らとは違って、静かにこちらに歩を進めてくる彼。
「……………潤くん、」
その声を聞いたふたりが離れていく。
静かに近づいてくる彼の顔は、もう、涙で歪んでる。
そうだよね、
本当は貴方は、相葉くんより泣き虫なんだもんね。
「ニノ、ちゃんと覚えてるよ」
また抱きしめられて、
また、肩付近で何度も頷かれる。
誰よりも、抱きしめる力が強い。
大丈夫？
ねぇ、僕は、貴方のほうが心配だよ。
だって貴方、本当は、
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2022年5月22日 18時
