03 / 遺言 ページ5
side N
2014/07/02
ジャリ、ジャリ、と自分の足音が響くと
墓石の前にしゃがむ彼が、こちらを向く。
「おまたせ、」
「あぁ和、ありがと」
「それ、2人から？」
「うん、相葉くんと松潤から」
彼の傍に置かれた二輪のユリ。
花立てに挿された新しい花に、それらを加える。
「毎年わざわざ手渡してくれるの、本当に有難い」
「気遣って此処には来ないしね」
「うん、俺が来てよって言わないからだろうけど」
「いいじゃない、翔ちゃんのところなんだから」
ふ、と零された愛想笑いで
少し沈黙が流れる。
「ごめん、遅れた」
「あ、兄さん。んーん、大丈夫」
「さとくんおつかれー」
「和、おまえ返信くらいしろよ」
「なに、和無視ったの？」
「一緒に行くかって聞いてんのにコイツ返信しねぇの」
「んふ、おじさんおばさんがうるさいって言ってるよ」
「や、和の相変わらずの適当さに父さんも母さんも笑ってるよ」
「そろそろおじさんのゲンコツが必要だな」
「やめてさとくん、あれほんと痛いんだから」
ふふ、なんて笑いながら
そっと手を合わせる。
お久しぶりです、なんて
元気でやってますか、なんて
翔ちゃんはお任せ下さい、なんて。
「……………………20年か、……早いね、」
そう、ポツリと零す翔ちゃんの横顔は
あの日から、いつだって儚い。
彼が12の時、
人生が狂った。
「俺ももう32だよ、2人の歳に近づいてる。
…………なのに………一番の供養が、まだ出来てないんだよ」
両親は生きていて
天真爛漫な人達で
そんな設定で芸能人を続けてる彼には
ずっと、ずっと望んでいることがある。
父親は不幸なことで亡くなって
母親もそのあと亡くなった、と
相葉くんと潤くんにも誤魔化しているけれど
あの2人は、無理に聞いては来ない。
「……………………母さんの、唯一の遺言なのにね」
最後、再び目を瞑り手を合わせてから
また来るよ、と言い残した。
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櫻宮 - もちろんです！Part2も楽しみにしています！ (2021年9月20日 17時) (
レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 櫻宮さん» ありがとうございます！Part2でもぜひよろしくお願いします´`* (2021年9月20日 0時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 彼は彼らは何を思うのか何を感じるのか、続き楽しみです！ (2021年9月19日 21時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - いよいよ折り返し地点ですね。続き楽しみです！ (2021年9月8日 18時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 最後の言葉を彼は分かっていた。だから彼は会いに来た。うーん、何だかなぁ。腑に落ちないというか何というか、、笑更新楽しみです！ (2021年8月26日 17時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2021年2月19日 17時
