45 / あの日にかえって ページ47
side N
「うわー超気持ち〜」
車から降りると
潮の匂いと、海風がそよぐ。
少し暑くなってきた最近には
とても心地よくて。
手を繋いだ先の彼を見ると
目を瞑って、微笑みながら風を感じてた。
「…わっ、」
「ふふ、ごめんごめん」
目を開けると俺に見つめられていて驚いたのか
少し間抜けな声を出す。
それが可笑しくて少し笑うと
少し拗ねたように、小さく息を吐いた。
「やっぱ海って誰かと来るべきだよねー」
「……ひとりで来たの？」
「うん、このまえ。ほら、待ってる、って返したでしょ？」
「あ……、…うん」
「あのとき夜に1人で来てさー、なんか虚しかったの( 笑 )」
なんて事ないように話す俺に少し驚きながらも
俺を見つめながら話を聞いてくれる。
きゅ、と
握られた手の力が強まったと思えば。
「…………潤くん、って叫んでたとき」
小さく、そう零した。
振り返るつもりはなくても
無意識に目が彼を探す。
「……………毎日、夜……此処に居たの」
「……、」
「…………字、をね……書く練習、してて」
「……うん、」
「…………………………無理だったけど…」
力なく笑って
足を踏み出したと思えば、そっと手を離すから
指先まで離れてしまわないように、
追いかけ、包むように握る。
「それなら俺、返せてないよ」
「……、」
「読めたから返せたんだよ」
振り向き、俺を見つめる瞳は
あのとき、この場所で
同じ景色を見ていた瞳。
「…………………………今、」
「……、」
「……今…一緒に逃げてって言ったら、……逃げてくれる…？」
間髪入れずに
首を横に振る。
「大切な人を突然失う怖さと悲しさを知ってるから、それは出来ない」
「………、」
「でもね」
空いた隙間を埋めるように、
彼との距離を埋め
彼の両手を、
俺の両手で包む。
「みんなでなら、逃げる」
彼の瞳の奥深くを見つめた瞬間、
海が、強い風で俺らを包んだ。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 楓さん» わわわありがとうございます( ; ; )めちゃくちゃ嬉しいです、、！ (2020年8月17日 23時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ヲ伽さんのお話、本当に好きです(; ;)更新楽しみにしています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: 8b170ae239 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 嵐華さん» いつもありがとうございます( ; ; )嬉しいです、、！ (2020年8月10日 2時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
嵐華 - ヲ伽さんの紡ぐ文章に惹き付けられます。大好きです。次の更新も待ってます！ (2020年8月10日 1時) (レス) id: fc50a29d39 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ナナさん» めちゃくちゃ嬉しいです、、！ありがとうございます´`*！楽しんでいただけて幸いです(*^^*) (2020年8月8日 20時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2020年7月6日 19時
