beg.5 / two −J ページ6
「ごめん、俺先出るね」
この後翔くんだけ仕事があって、1時間後に移動すればちょうどいいらしく、みんなで残って話してた。
話し始めてから30分経ち、
チラリと時計を見ると、18時半前。
ちょうど良い頃合いだ。
話が一段落したとき、
タイミングを見てそう告げた。
「あれ、松潤も仕事？」
「ううん、ちょっと、用事」
「あ…、病院？」
翔くんに仕事かと尋ねられ、嘘は付けないから
適当に誤魔化そうと思ったのに
リーダーに簡単に見破られた。
まぁ、目の前で苦しんだんだし
そりゃあバレるか。
「うん、一応行っとこうと思って」
「あ、俺この後仕事ないよ？送って行こうか？」
「ううん、大丈夫。一旦家帰るから」
ニノの優しさを自然に断ったけれど
今まで、病院に送ってもらったことなんて無い。
『遠慮しなくていいのに』と言ってくれるけど
そんなワケにはいかない。
「じゃあ、お先。おつかれさま」
「 おつかれさま〜 」
ヒラヒラとみんなに手を振って
楽屋を出た瞬間、
病院やだなぁ、なんて思いに心を埋め尽くされながら
かかりつけの医師に連絡を入れる。
21時まで開けてるから来い、と待ってくれるようだ。
なんで急に痛くなったんだ？とか
なんか心臓に悪いことしたか？とか
いろいろ、聞かれそうなことを考えて
それを自問自答する。
けれどまぁ、分かるわけもなく。
マネージャーに、家まで送ってもらう車内でも
グルグルとそんなことを考えていた。
動き回る思考回路が辿り着いたのは、
あのとき鏡に映ったジブンの表情。
苦しそうだった。
でも、瞳の奥深いところが
俺の気の所為だろうか。
マネ「松本さん、着きましたよ」
「ん、あぁ…ありがとう」
マネ「明日、8時でお願いします」
「ん、分かった」
19時、マンションに着き、
玄関を開けてリビングに入った時には
そんなこと覚えてなくて。
今日は呑もうかと思ってたのにな、なんて思いながら
軽めにご飯を済まして…と思ったけど
たまには譲ってやろうと思い、寝室へと足を運んだ。
【今日、理由は分かんないけど心臓痛んだから
病院よろしく。
ご飯もお風呂もまだだから。】
メモにそう書いて、
いつものようにベッドのサイドテーブルに置いて
ベッドへ沈み、そっと目を閉じた。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年3月26日 2時
