乞ウモリ (ページ27)

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beg.26 / 迷愛－A ページ27

「遅らせるのは大丈夫だって」

「ありがとう。戻ってて？落ち着いたら連れてく」

「ん、分かった」

リーダーがスタッフさんに掛け合ってくれて、
撮影を遅らせて貰うことが出来た。

その報告に来たリーダーにお礼を言って、
戻るように促す。

みんなが居るところに戻るには、
いろいろ準備がいるだろうから。

「……ご、めん」

再び抱き締めていると
数分後、腕の中から小さな声がした。

「謝んないでよ、…もう大丈夫？」

俺の問いに、コクリと頷くから
「そっか、」とだけ返事をしてから

少しだけ強く、抱き締め直した。

「…あいばくん、」

「ん？」

「……、」

「ふは、呼んだだけ？
彼女じゃないんだから( 笑 )」

話そうか、話さないか…

そんな迷いからか、
次の言葉がなかなか出てこない彼に

そう言ってやると、ふふ、と声を漏らす。

「…大丈夫だよ。待ってるから」

「……彼氏だね」

「懐デカいんだよ」

柔らかくなってきた空気を裂かないように、
そっと左手首を隠す仕草をする彼。

左手首を隠す彼の手に
自分の手を重ねる。

「松潤は、大丈夫だからね」

崩れそうな彼の心のバランスを

必死に支える。

コクリと頷いた彼に微笑みかけると
微笑み返してくれた。

「服、捲っちゃダメだよ」

「うん、」

何かがおかしい彼の世界を

誰にもバラすこと無く守りたいと

心から思えた。