乞ウモリ (ページ28)

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beg.27 / 夜が惹き寄せたもの－N ページ28

なかなか戻って来ない2人を気にして、
別室に様子を見に行った翔ちゃん。

慌てて戻ってきたと思えば
心臓、とだけ言って

潤くんの鞄から薬と水を持って、
再び楽屋を飛び出して行った。

それに続き、大野さんも
スタッフさんに言ってくる、と言って楽屋を出て行く。

それと同時に、薬を渡した翔ちゃんが戻ってきた。

「最近無かったのにね、潤くん」

「うん、…それよりさ」

「ん？」

「相葉くんと松潤…すげーくっついてたの」

「…それだけ言われたらなんかアブナイんだけど」

翔ちゃんの言葉に、思ったことをそのまま言えば

コーヒーを吐き出しそうになるのを、
口を抑えて必死に止めてた。

「意味分かんねぇこと言うなよっ」

「や、翔ちゃんの言い方よ( 笑 )」

「でもほんと、すげー近かったの」

「潤くんが苦しそうだから背中摩ってたんじゃない？」

「そうなのかな」

そこに大野さんが戻ってきて
「落ち着いたら戻って来るって」と伝えてくれた。

2人を待つ間、翔ちゃんはまた大野さんに同じ質問をしてて。

そんな気になるか、と
俺はそっちの方が気になる。

「おーい開けて～」

数分待っていると
扉の向こうから相葉くんの声がして

潤くん抱えてるのか、と瞬時に理解して
ゲーム機を放り投げて扉を開ける。

「ありがと、ソファ失礼～」

「毛布貰ってくるわ」

まだ本調子じゃなさそうな潤くんを見て、
毛布を借りに楽屋を出る。

いつもより苦しそうな様子だから
無意識に駆け足になって、毛布を借りて
息を切らして楽屋に戻った。

「ありがとニノ」

「いいよ、それより大丈夫そう？」

「さっきよりはね」

相葉くんがホッとしてそう言うと
潤くんが俺をじっと見て、ありがとう、と口を動かすから

寝てな、と言って両目をなぞるように手を被せてやると
スーッと意識を手放した。

「いつもより酷かったんでしょ？」

「うん、」

「30分は大丈夫らしいから、寝かせとこうか」

大野さんのその言葉で、
楽屋は潤くんを起こすまいと一気に静寂に包まれた。

30分後に目を覚ました潤くんは、
明らかに調子が良くなってて。

これなら大丈夫、とリーダーの許可が降りて、
撮影も無事に始められた。