beg.19 / 心中に永存するもの −A ページ20
「まつ─────」
「潤くん」
「ん？」
俺の声を遮ったニノに話を振られると
彼の表情は、嘘みたいに元に戻った。
「何か…些細なことでも、無い？ちょっとしたトラブルとか」
「うん、ほんとに何も無くて…」
「でもこれ、恨みは入ってるよな…」
“ 恨み ”
そんな翔ちゃんの言葉で、
楽屋に沈黙が流れる。
本人が心当たりのない恨みなら
尚更、怖い。
「…っあの」
そんな沈黙を破ったのは、松潤本人だった。
「…まだ何も分かんないからさ…、
またあったら言うから、今はいいよ？」
「でも…」
「心配してくれてありがとう」
納得いかないような3人に、
微笑んでそう言った彼。
そんな彼に、3人は何も言えず。
「約束だからね？」と言うだけだった。
そして、タイミング良くスタッフさんが呼びに来た。
5人で楽屋を出て、
先に行く3人と
その後をついて行く松潤と
また、その後を歩く俺で別れる。
後ろから、松潤の背中を見ていて
また、頭の中が動き出す。
ずっと気にかけて見ているからか、
やけにいろんな仕草が引っかかる。
それが全て、違和感に変わる。
分からないんだ。
俺だけが、1人で考えていても。
「うおっ、びっくりした、なに？」
前を歩く彼の腕を引っ張ると
松潤は、びっくりしたように振り返った。
「…今夜、空いてる？…話がある」
彼は、不思議そうな顔をしながら
「空いてるよ」と頷いてくれた。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年3月26日 2時
