乞ウモリ (ページ12)

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beg.11 / 今見ているのは－A ページ12

深夜2時だけど
まぁ、徒歩で行けるところだからいいかと思い

コンビニに着き、適当につまみを選び

帰り道、夜風に当たりながら
明日の仕事のことを考えていた。

すると、

通り過ぎた、狭い路地の階段に
人影が見えて

ちょっと気になって覗いて見ると

そこには、全身真っ黒の服を着て
フードを被っているけれど、明らかに松潤らしき人が
階段に座って俯いている。

少し自分を疑ったけれど、
さすがにメンバーを見間違いはしない。

「……松潤？」

狭い路地に入り、
彼に近付き声をかけると

ビクッ、っと微かに驚いた様子を見せてから
少しの間をあけてから、チラリと顔を上げた。

顔を上げたその時には、既に口元が緩んでいて。

「相葉くん」と、俺の名を口にした。

「…松潤、こんなとこで何してんの？」

「松潤なんてやめてよ」

「え？あ、そっか、バレちゃうか。

じゃあ…潤ちゃん？」

「くふふ、うん」

ハテナが脳内に散らばる。

…なに？
…なんだ？

目の前に居るのは、間違いなく松潤で。

でも、何かが違う。

まるで、中身だけ入れ替えたような─────

「くふ、どうしたの？」

「や、えっと…、早く、帰んなよ？」

どこか、優しくしてあげなきゃ、とおもわせる雰囲気があって
自然と手が伸びて、頭を撫でてそう言った。

すると、彼は嬉しそうに微笑んで。

それは、やっぱり松潤に似ていた。

“似ていた” と表現してしまうのも
きっと、この彼に違和感を抱いている証拠だ。

少し早足で家に戻り
急いで扉を閉めて

その扉に伝うようにしゃがみこんだ。

「はぁ、…はぁ、」

荒い息が、俺に纏わり付く。

脳裏から離れてくれない、彼の姿と彼の微笑みが
身体中を支配しているようで。

それでも、拭えない違和感が
どうしても忘れることを許さなかった。

それに加わるようにして新たに生まれた疑問は

彼が “ 4日連続二日酔い ” だということ。

さっきの彼は、明らかに飲んでいなかった。

シラフだ。

4日連続で飲んでいて、二日酔いになって

今度は飲まずに深夜の街に出るって？

ニノが驚くほど謝ったんだから

今夜は早く寝るのが松潤のはず。

知らなかった一面ってやつ？

………20年以上一緒に居て？

「…ダメだ、これじゃ明日俺が二日酔いみたいになりそう」

埒が明かず、明日は5人での収録だから
そこで様子を見ようと思い

買ってきたつまみを冷蔵庫に放り込み、
ベッドに向かった。