第二十六話:すずめ ページ29
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中間考査まであと一週間を切ったある日のこと。
いつも通り二時限目終了のチャイムが鳴り、三時限目の移動教室の準備をしていた時、視界の端に制服の黒いスカートが写った。
「椿木さん」
話し掛けてきたのはクラスメイト。
肩まである灰茶色の髪を揺らし、細い腕には魔法薬学の教科書が抱えられていた。白い頬を薄紅に染めながら彼女は口を開く。
「よかったら、一緒に行かない？」
驚いた。誰かからこんな風に誘われるなど数える程しか記憶に無い。
私が一向に返事をしない事に焦った彼女は「嫌だったら別にいいの！」と少しだけ泣きそうな声で言った。
『いや、済まない。誰かからこうして誘われるなんて久しぶりだったから、少し驚いてしまった。私でよければ同行しよう』
即座にそう返せば、彼女は途端に顔を輝かせた。
「本当！？ありがとう…！」
ころころと表情が変わって見ていて飽きないな。こんなに可愛らしいなら嘸かし人に好かれるだろうに、如何して私がいいと思ったのだろうか。
『こちらこそ。えー……済まない、名前を教えて貰っても？』
「いいのよ大丈夫。私、
『Aで良い。よろしく鈴芽』
そう言って差し出した手を彼女──鈴芽は嬉しそうに握り返した。
───────…
鈴芽と談笑をしながら植物園に繋がる廊下を歩く。
所作や言葉遣いから育ちの良さが見受けられる彼女は穏やかに微笑みながら話していた。
「私ね、ずっとAちゃんと話してみたかったの」
『私と？』
「うん。ずっと憧れてたの。凛々しくて、カリスマ的で、何時でも堂々としてる貴方が羨ましくって」
そう言う鈴芽の横顔は小波を立てる海のように穏やかだった。
「前の全校集会、本当に格好良かった。私ね、Aちゃんが生徒会長で良かったって思ったわ」
『……！』
私が生徒会長で良かった、か……
前の人生で一度も言われたことの無かった言葉に胸がほんのりと暖かくなった。
また暫く歩き、目的の植物園に差し掛かる。植物園の温室を視界に捉えた瞬間、無機質に光る物体が真上から降って来た。
咄嗟の判断で、後ろに飛び退くと私が居た場所にはシャベルが突き刺さっていた。
────シャベル？
「これ避けるんか、やっぱ生徒会長サマはちゃうなぁ」
明るい声と共にシャベルが引き抜かれる。声の主は黄色の瞳を歪めて此方を見据えていた。
「はじめまして、生徒会長。"決闘"の申し込みに来たで」
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鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます！ (2020年9月13日 13時) (
レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き！シナリオ面白いです(*´∇｀*)本当に！いい展開！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー！ありがとうございます！！女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…！ もう、好きです！(2回目)無理しない程に頑張って下さい！応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。＠変人系カップル＆シトラ教教組さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶴木 | 作成日時：2020年7月20日 22時
