岩泉バースデー 10 ページ31
「俺が見てくるから、岩ちゃんは着替えて!」
上手く誤魔化せたらしく、ロッカーの扉がカタカタと音を立てる。
よし、徹ナイス!
ハジメがダイヤルを回して暗証番号を入れていく。
カタカタ鳴っているから、もうすぐ開くのはすぐに分かった。
そして、急に視界が開けて蛍光灯の光が差し込んできた。
「……は?」
ロッカーの前で固まる、ハジメと私。
ハジメは、両目を大きく見開いていた。
どうやら、驚いてくれたらしい。
私もそのハジメの顔は久しぶりに見た。
「えーっと……誕生日おめでとう、ハジメ」
凝視しているハジメの目が怖くて、私は戸惑いながらもお祝いの言葉を口にした。
なんだかすごい嫌な予感がする。
ハジメ……もしかして怒ってる?
「……A」
「ハイ」
「誰に言われて俺のロッカーに入った?」
あ、もしかしなくても怒ってますね。
でも、それは私に向けてではなく、この企画を提案した人らしい。
ハジメのロッカーをびっくり箱にしたのも、中に私を入れたのも徹の案だけど、一緒に考えていた私もそれでOKにしちゃったから、なかなか言い出しづらい。
「及川」
すると、それを聞いていた花巻さんが、躊躇なく徹の名前を出した。
その途端、ピキっとハジメの顔に青筋が浮かぶ。
あ、これはやったな……。
ハジメは部室内を見渡し、徹がいないことを確認すると、急いで外へと出ていった。
まさか、さっきの見てくるって発言、ハジメが怒ることを予測して逃げるため……?
完全に1本取られた……。
結果的にハジメを怒らせてしまったけど、なんだかこれはこれでいつも通りって感じがして良かったのかも。
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今週末、諸事情により更新が出来ないため、月曜にまとめて更新します。
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sala-ri✰︎ - 面白かったです!!!!更新頑張ってください!!!楽しみにしてます(*^^*) (2022年6月20日 17時) (レス) @page3 id: 94069447b5 (このIDを非表示/違反報告)
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