【HQ】鈍感少女 vs ヤンデレ少女 2 (ページ8)

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703. 歪んだ考えページ8

血しぶきが上がった。

俺よりも少し前にいたAの頬に、少しだけ血が飛ぶ。

大丈夫かと思って顔を見ると、Aは恐怖のせいか表情が全く動いていなかった。

目の前で高笑いする女子生徒を、無表情でひたすら見ている。

「アハハハハ！アハハハハ！楽しい！これでまた1つ、あなたを想った記念になるわ！なんて素晴らしいの！」

狂ったように大笑いする女子生徒に、俺も恐怖を感じていた。

こんなやつに好かれていたのか、俺は……。

こんなに大きすぎる愛、受け止めきれる自信なんてないってのに。

「見てよ、これ！すごく綺麗でしょ？こんなふうに印をつけて、私はあなたからの求愛を待っているのよ！ほら、早く付き合いましょう？」

そう語りかけてくる女子生徒に、俺はなんて返したらいいのか分からなかった。

昔から恋愛なんてよく分からねえ俺が、こんな愛され方をしたところで素直に頷けるわけがねえ。

黙ったままでいる間も、彼女は俺とAの方をじっと見ている。

「もしかして、その子がいるからあなたは私と繋がれないの？」

女子生徒がカッターを向けた先には、無表情のAがいた。

まずい……これは、Aが傷つけられるパターンか？

「そういうことよね？全てはあの女の仕業……んふふ、ちょっと待っててね。今からあの女からあなたを救ってあげるから」

何言ってんだ、こいつ？

歪んだ考え方に、俺はまったくついていけていなかった。

俺を救う？意味がわからねえ。

俺はそもそも救ってなんて言ってねえ。

そう思いつつ、俺はぎゅっとAを守るように抱きしめた。