【HQ】鈍感少女 vs ヤンデレ少女 2 (ページ7)

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702. 好意の数だけページ7

カッターの鳴る音と、女子生徒の床を踏む音が体育館に響き渡る。

よくよく見れば、女子生徒は体育館履きではなくローファーのままだった。

Aが、恐怖からか俺のブレザーの襟を掴む。

俺は、それに答えるように少しだけAを抱く腕に力を込めた。

Aの右肩は、松川が持ってきたタオルで軽く止血はされているものの、傷口がどうなっているかも分からないため少し不安だ。

早く保健室へ行きたいのが正直なところ。

そう思っている間にも、女子生徒はユラリユラリとこちらに向かって歩いてくる。

「ねえ……どうして？……どうして私を見てくれないの？そこにいる女ばっかり見て、私の事なんて視界にすら入っていないじゃない！」

静かに話し始めたかと思えば、急に怒鳴り出す女子生徒。

こいつ、本当に大丈夫か？

情緒不安定すぎやしないか？

「私はあなただけをこんなに愛しているのに……ほら、コレ見てよ」

女子生徒はそう言いながら、自分の制服の袖を捲った。

そこには、何十という数の赤い線が刻まれていた。

「私があなたに好意を寄せた数だけ、ここに印をつけているの。もう少しで100を超えるのよ」

俺に、好意をもった数だけ……手首を傷つけてるってのか？

狂ってる……この女、本当に理性が今にも切れそうな気がする。

「ほら、見ててね」

女子生徒がカッターを手首にあてがう。

やめろ……そんなことするなよ……。

俺までもが震えているような気がした。

女子生徒は、そんな俺の思いも虚しく、スルッとカッターを手首の上にすべらせた。