. ページ4
.
蘭さんの部屋の前で深呼吸をする。
今から私はあの地獄絵図の中に入って行かなければならない。
『ふぅ……大丈夫だ私……出来るぞ私……』
よし、と意気込んで、ドアノブを捻った。
『蘭さん！おはようございます！』
出来るだけ明るい笑顔で蘭さんの元に駆け寄る。
蘭「あ？………え？Aちゃん？」
とても機嫌の悪そうな蘭さんの顔が見えた。
『もう〜そんなに怖い顔してどうしたんですか？？』
誰か私に主演女優賞をくれても良いのではないだろうか。
蘭「Aちゃん………悪いけど今は外してくれる？」
『え……どうしてですか？』
蘭「コイツらに起こされて今すげぇ機嫌悪いの。Aちゃんに当たりたくねぇし。」
『でも……』
蘭「出てって？な？」
いつもより威圧的な口調にたじろいでしまう。どうしよう、正直もうこのまま言うことを聞いてこの部屋から退場したい気持ちだ。
『(ど、どうしよ……)』
チラリと横を見ると、数人の舎弟さんたちとバッチリ目が合った。
ガタイのいい男の人たちが震えて涙目になりながら私を見上げている。なんか助けを求められている気がする。
『えっと……』
キャバ嬢やってた頃はお客さんのご機嫌取りがお仕事だったのに、どうしてらこんな時に限ってアイデアが出てこないのだろうか。
蘭「おい、はやく、」
この際悩んでも仕方ない、出来ることだけやってみるか…
『ひ、酷いです蘭さん……』
蘭「は？」
『私……蘭さんにこの可愛いパジャマ見せたくてせっかく来たのに！！』
蘭「えっ…」
「「……」」
舎弟さんたちお願いだからそんな顔で見るのやめて……
『せっかく可愛いの選んだのに……なんで無反応なんですか………？』
蘭「そ、れは………」
『こういうの………あんまり好みじゃなかったですか……？』
上目遣いで見つめると、さっきより少し表情の緩んだ蘭さんと目が合った。
蘭「いや……可愛い、けど…」
『ほんとですか？似合ってますか？』
蘭「うん……でも俺はもうちょっと肌出てるやつがいい……」
よし、蘭さんの意識は完全にこちらに向いたようだ。
『そっか……じゃあ今日の夜着るパジャマは蘭さんが選んでください！』
蘭「え…マジ？」
蘭さんの声がいつもの様に戻ってきた。あともう一押しかな…？
そこで私は先程の竜胆さんの言葉を思い出す。
"ハグでもしに行けばいいんじゃね？"
………失敗したら竜胆さんのせいですからね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4692人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ただつ(プロフ) - 東リベ自体は読んでなかったのですが、この作品を読んで興味湧いてきました^ ^ 最高におもしろいです！ (3月9日 11時) (
レス) @page47 id: bb369dedc9 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - もう大好き過ぎて一気読み確定でした（т-т）！！更新楽しみです！ (12月16日 23時) (レス) @page47 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
るか - 突然すみません、プリ小説でとても似ている作品を見たのですが、プリ小説でも同じ作品を書かれていらっしゃるんですか？ (12月15日 21時) (レス) id: 55d8563b32 (このIDを非表示/違反報告)
SELENE(プロフ) - 一気に読ませていただきました！夜中なのに目がギンギンです笑素敵な作品、今後も応援させてください。 (12月13日 2時) (レス) @page47 id: 9bbf4db66c (このIDを非表示/違反報告)
full.(プロフ) - かなさん» かなさんありがとうございます！！応援にすっっごく励まされます！頑張ります！！ (11月19日 22時) (レス) id: 73b8919793 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：full.
| 作者ホームページ：http://utanai.nosv.org/u.php/hptyomatu/
作成日時：2022年12月5日 2時
