カルミアは温もりを知らない９

427話 ページ42

なんで立っているのか不思議に思うほどにボロボロのリーブは一歩も引かずに前だけを見据えている。


そして既に影のエネルギーを集め始めていた。



「やらせるな！りゅうのはどう！」


『躱して！シャドーボール！』



喰らい尽くすような龍の頭に似た波動を目にも止まらぬ速さで躱したかと思えば一瞬でバクガメスに近づきシャドーボールを当てる。



「怯むな！だいもんじ！」



一度身体が大きく揺れるもすぐに戻し、大の字の形を模した炎を吹き出した。



『かみなり！』



轟く雷鳴は地面を揺らし、大きな炎すらもかき消す。
そして一時的な土煙で互いの姿をくらませた。



『あくび！』



電気を使った目くらましはリーブの得意技。
かみなりが落ちると同時に動き出し懐に入るのは造作もないことで、その速さについてこれるポケモンはなかなかいない。


すぐにバクガメスから離れ戻ってくる頃には土煙も晴れていて、あくびが直撃したのを証明するかのように足元がおぼつかないバクガメスの姿があった。



『シャドーボール！』


「なぎ払え！ドラゴンクロー！」



二度目のシャドーボールがバクガメスに当たることはなく、交代で現れたフライゴンによって掻き消されてしまう。



『だったらあくび！』


「させんな！じしん！」



接近を阻むように地面が縦に揺れ、リーブに大きなダメージを与えた。だけどレフェリーの手は上がらないし、観客の困惑する声が聞こえる。



「おいおいまじかよ根性あるじゃねーか！」



バクガメスのトラップシェルをギリギリのところで耐え抜いていたリーブは効果抜群のじしんさえも耐え抜いてみせたのだった。

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