カルミアは温もりを知らない９

420話 ページ35

『コスモ、ありがとね』



震える手を無理やり抑え、もう一つボールを出す。


私とお兄ちゃんの間にある高い高い壁。
それを見せつけられ絶望故の恐怖。畏れ。


でも怖いなんて今さらだ。
ずっと怯えながら生きてきた。


だから私は知っている。
どんな高い壁でも登りきる術を。


仲間がいればなんだって出来ることを、
私は皆に教えてもらったのだから。



『頼んだよ、ルフィニ！』


「フライゴン！」



二体のポケモンがフィールドに姿を見せる。
それと同時に砂嵐が発生した。


フライゴンの特性に砂嵐を発生させるようなものは無い。
フライゴンがお兄ちゃんの意図を汲み取ったんだろう。



「ドラゴンクロー！」


『まもる！』



どこからともなく現れ、攻撃を仕掛けてきたフライゴンに対して翡翠色の壁が拒む。



『続けてねっとう！』



まもるの効果が消えると同時にねっとうを放つがそれよりも先に砂嵐の中に消えてしまう。


だけど収穫もあった。
砂嵐の中でおかしなスピードで回る黒い点のようなものがあるのだ。



『ルフィニ！』
「シャワッ」


『れいとうビーム!!!』



そう言うと同時にルフィニは黒い点の少し先目掛けて放つ。
だけどその狙いに気付かれたのか、直前で方向を変えて避けられてしまった。

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