カルミアは温もりを知らない９

413話 ページ28

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「それでなに？」




ネズさんが完全に見えなくなったところでどこか不機嫌そうな顔をして尋ねてくる。深呼吸でなんとか緊張を押さえつけた私は、ゆっくり口を開いた。



『私ねルミアって言うんだ』


「え？」


『名前。スレナっていうのは偽名なんだ』



突拍子も無さすぎたせいか、不機嫌そうな顔もどこかに消え、ただただ困惑する彼女に申し訳なさすら覚える。


気持ちいい話でもないから。
それでも知ってほしいと思うのはただのわがままだった。



『私、あんまり親と上手くいかなくて、認めてもらうための度だった。だから本当は、試合の勝ち負けなんてどうでもよかった。認めてもらうためのなにか、証みたいなのが欲しかっただけだったから。


でも貴方に出会って変わったんだ。
ポケモン達が傷付くバトルなんて大嫌いだったはずなのに、貴方とバトルしてから少しずつ楽しいって思えるようになったんだ。


だから、ありがとう。それからごめんなさい。
すごく失礼なことをした。最低だった。本当にごめんなさい』



誠心誠意頭を下げる。


ずっと後悔してた、あの日のこと。
でもどうすればいいかなんて分からないから、私にはこうすることしか出来ない。

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