カルミアは温もりを知らない９

402話 ページ17

絶対に離すまいと、背中を大きな牙で襲う。


技すらも出せない程の強い力で。



「そのまま、かみなりパンチ！」


『今、とける！』



電撃を纏わせるためにズルズキンが少し息を吸う。
ほんの一瞬。少し顎の力が弱まるその一瞬を外すことなく、再び液体化したシャワーズは脱出に成功した。


だけど、ズルズキンも外さない。
とけるで逃げた先に飛び込むようにして、その拳を打ち付けた。
その衝撃で、氷が割れる。



倒れたシャワーズはすぐに立ち上がった。
が、すぐに様子がおかしいことに気がつく。


体の細胞が限りなく水分子に近いとされるシャワーズが、とけるを使って液体化したためか、身体が電撃によって麻痺していた。



「とびひざげり！」


『ハイドロポンプ！』



さっきと同じ。飛び上がる前に足止めを狙ってくる。
でも二度はない。



「上に躱して！」



元々、ズルズキンはキック力が強いポケモン。
その脚力を使って高くジャンプするなんて造作もないこと。



『ルフィニ、構えて』
「シャワ」


「とびひざげり！」
「ルッ」



避けると思っていた。
なのにスレナはなんの指示も出さず、シャワーズは正面からその攻撃を受け止め、そして……



『ハイドロポンプ！』



完璧に受けきったところで、大量の水を激しい勢いで噴射し、ズルズキンに直撃する。



「ズルズキン、戦闘不能！」

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