カルミアは温もりを知らない８

378話 ページ40

「キバナさんとスレナは仲良しなんだな！」



その声に驚き後ろを振り返る。そこには、ホップくんだけでなく、ニコニコと笑うヤローさんとカブさんがいた。


まさか聞かれていたとは、と恥ずかしさで顔に熱が集まる。
部屋に入った時は何やら3人で盛り上がっていたから気にしていなかった。



『すいません。話の邪魔してしまって』


「そんなことないぞ！それよりスレナ、なんで教えてくれなかったんだよ！キバナさんが兄ちゃんだってこと！」


『えっあ、うん。
ごめん……？』


「でもたしかにそっくりだよな！
通りで見覚えがあったわけだ」



そう言われてもどう返せばいいか分からず曖昧に笑う。
実際のところあまりそんな自覚がないのだ。
お兄ちゃんとお姉ちゃんが似過ぎていたせいかもしれない。



「お前んとこも大概そっくりだけどな」


『そういえばお兄さんがチャンピオンなんだっけ』


「そう！兄貴を倒して俺がチャンピオンになるんだぞ！」



高らかにそう宣言したホップくんに、彼なら本当に叶えてしまうのではないかと思った。


しかし、それに横槍を入れたのはレンカ。
勝つのはルミアに決まってるだろ！と必死に訴える。



「ん？お前、もしかしてあの時のイーブイか？ボール拾いの達人！ブースターになったんだな！さっきのフレアドライブかっこよかったぞ！」


「スタ！」



自分のことを覚えていてくれたのが嬉しかったのか、それとも褒められたのが嬉しかったのか、はたまた両方か。
コロッと反応を変えたレンカに思わず苦笑する。



それにしても、あの時のイーブイがレンカだって見て分かるの凄いな。会ったのはあの日だけのはずなのに。


ポケモンのことよく見てるんだな、ホップくんって。

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