カルミアは温もりを知らない８

375話 ページ37

『ダイスチル！』
「さらにとける」



レンカが足を踏み鳴らすと巨大な鋼の山が次々とマホイップを襲う。それをとけるで往なし、最小限のダメージに抑えた。



「アシストパワー！」
『っダイバーンで吹き飛ばして！』



その指示通り、レンカは高温の炎を吹き出すが巨大故に動作が遅く、先にマホイップの技が直撃する。


天から降り注ぐ強力なサイコパワーに、堪らずレンカは地に伏した。



「ストレートじゃつまらないね。
熟したフレーバー、味わいな」



そのままマホイップをボールに戻し、ダイマックスさせる。


ウェディングケーキのようなその姿はレンカを圧倒するほどの大きさだった。



「力だけが強さじゃない。あんたの活力、いただくよ。
マホイップ、キョダイダンエン！」



間髪入れずに、今度は生クリームのような塊が流星群のように降り注ぎ、レンカの体力を奪っていく。


逆にマホイップは傷が癒えていた。



『レンカ、しっかり！』



どうにか攻撃に移りたいルミアだったが、返ってきたのはくぐもったような声だけ。


動きたくてもクリームの重さで動けないのだ。



「もう一発いくよ。キョダイダンエン！」



さらにのしかかるクリームの塊に絶望するルミアだったが、とあることに気がつく。


太陽に近い上の方が溶けているのはわかる。でもそれだけじゃないのだ。明らかに下の方も溶けていた。



『身動き取れなくてイライラするよね。何もやり返せなくて悔しいよね。その悔しさもその苛立ちも全部吐き出しちゃえ！』



その瞬間、バタバタと地面が揺れる。
燃えるような暑さでぽたりと汗が零れ落ちた。

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