カルミアは温もりを知らない８

354話 ページ26

「さあトゲキッス、今だよ。
はどうだん！」


『押し返せ！ふぶき！！！』



迫り来る青白い光球に、コスモの生み出した猛烈な吹雪を吹きつけ対抗する。


広範囲にわたるふぶきは、あっという間にトゲキッスを包んだ。


しかし、トゲキッスのはどうだんが盾となった。


ふぶきの猛攻に耐えながら、さらに波導の力を溜め、はどうだんは大きく、大きく、なっていった。



「踏ん張りどころだよ！」
『押し切れ！』


「キィ、ッス!!!」
「シアァ!!!」



傷だらけの二匹は、それでも一歩も引かない。
どんどんと大きくなる二つの技に誰もが息を呑んだ。


静まり返る観客席とは裏腹に、目の前で繰り広げられるは気迫の勝負。そこはまさに野生の世界だった。





徐々に押し返す巨大なはどうだん。
一度流れに乗られれば再び押し戻すのは不可能で。



「グレイシア、戦闘不能！」



咄嗟に避けることも叶わず、直撃したはどうだんに力なく横たわっていた。


しかし、限界だったのはトゲキッスも同じ。
コスモが倒れた姿を確認し、静かに目を閉じ伏せた。



「トゲキッス、戦闘不能！」


〈ここで両者ともに戦闘不能！実に素晴らしい勝負でした！
残りポプラ選手は3体、スレナ選手4体。依然、ルミア選手の有利は変わりませんが……

ここで再びニンフィアを戻したポプラ選手！
対してスレナ選手、シャワーズだァ！〉


「いつも通り行こうかねぇ」
「フィア〜」


『頼んだよ、ルフィニ』
「シャワ」



後ろを振り返らず、相手(ニンフィア)を見据えたまま、ルフィニは静かに頷いた。

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