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第53夜 黒ルフと姫 ページ8

「……何故と訊かれましても」



 


 

 上から睨んでくる紅炎に反抗的に言ってみた。


「私は、……もう止めにしたいからです」


 意味がわからない、という表情をした紅炎。

 すごい威圧感……呑み込まれてしまいそう。




 


 

「……こんな私を白にしてくれて。私と……共に進もう、歩もうと言ってくださった方がいるのです」



 アラジンが瞼の裏に浮かぶ。

 瞳を閉じて、私は膝まづいた。





 


 


「申し訳ありません。私は、貴方にお仕えできません。



 

 
 ____紅炎様」



 あの人たち(アラジンやジャーファル)を、裏切る真似は私にはできない。


 ……シンドバッドは信じれないけど。




 


 

「……そうか。____ジュダル」


 ……ジュダル?

 何故……答えはすぐに出た。





 


 

 私の名を呼んで、彼は目の前に来た。



 黒ルフが散乱した。



 

 

 

 ……それのせいで、紅炎が見えなくなる。壁のように、黒ルフが連なってゆく。



「……や……だ」

 黒は嫌だ。


 せっかく戻れたのに。……アラジンが、戻してくれたのに!




 


 

「……なぁ。A」

 


 ジュダルの赤い瞳に吸い込まれそう。



 
 


 ……恐い。


 ____私は、黒を恐れている。




 


 

「嫌……こっちに来ないで」


 後退ると、ルフの壁に身体が擦れた。


 ……激痛。戻った私を怨むようだった。


 ルフの鳴き声が耳をつんざく。

 悲鳴のように。




 

「やだ……やだ」



 耳を塞いでも聞こえる。


「A……(つら)いだろ……?」



 


 

 聞いたこともないような優しい声で、ジュダルが囁いた。




 



 

 

「楽になろうぜ……(つら)いのは嫌だろ? 苦しいのも嫌だろ……?」


 やめて。




 

「やだやだやだっ……」




 


 


 

 訴えかけないで。


 

第54夜 姫の叫び→←第52夜 手錠と姫



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設定タグ:マギ , 愛衣芽 , シンドリア   
作品ジャンル:アニメ
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かな - 面白いです!更新頑張ってくださいね! (2019年5月3日 13時) (レス) id: d01b354714 (このIDを非表示/違反報告)
貴璃(プロフ) - すごくすごくこのお話大好きなんです!どうなるのかなーって思ってたのでよかったです♪ (2016年3月29日 9時) (レス) id: a48d6bf09d (このIDを非表示/違反報告)
樹里 - すっごくおもしろかったです!本当に神作品!夢主が幸せになって本当によかった^^ 新作も頑張ってください!応援しています^^ (2015年6月15日 16時) (レス) id: de9ed35498 (このIDを非表示/違反報告)
バドらび(プロフ) - すっごい面白かったです! (2015年6月14日 20時) (レス) id: 00ee94b664 (このIDを非表示/違反報告)
ティア(プロフ) - 途中まで、夢主が可哀想で、泣きそうでした。・゜・(つД`)・゜・ (2015年6月14日 20時) (レス) id: d1af63575e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛衣芽
作成日時:2015年5月16日 7時

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