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お騒がせギルド、妖精の尻尾 3 ページ35

「わぁ、思ってたより大きい…!」

魔導士ギルド・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の建物を前に、期待と緊張で気持ちを高揚させたAが声を上げる。

「でしょ?騒がしいけど楽しいギルドよ、ここ」

「おっしゃー!帰ってきたぞー!!!」

道中で酔いが覚めたのか、もうすっかり元気なナツが勢いよくギルドの扉を開けた。

「腹減った!メシだメシー!」

「ちょっと!それより前にやることがあるでしょ!?」

「ぐえっ」

テーブルについて食事の注文をしようとするナツのマフラーを掴み、後ろにぐいと引っ張るルーシィ。
掴み所が悪かったのか、マフラーはナツの首を容赦なくぎゅうぎゅう締めつけている。

「ルーシィ、ナツが窒息しちゃう」

「あっごめん」

Aの言葉を受けて反射的に手を離すルーシィ。
急に支えを失ったナツは、反動で机に額を打ちつけた。
ギルド内にゴチンと重たい音が響く。

「イッテェ!何すんだルーシィ!」

「いや、だからごめんって…」

赤くなった額からプシューと白煙をあげてルーシィに詰め寄るナツは、自分に接近する人影に気がつき、目を吊り上げたまま顔を右に向けた。
その視線の先に居たのは、いかにも不機嫌そうな黒髪の青年。
彼はルーシィやAたちなど目にもくれない様子で、ナツに思いっきりガンを飛ばした。

「ったく…帰ってきて早々やかましいんだよ、お騒がせ野郎」

「あ?人に文句つける前に服着ろよ変態」

「テメェも大概似たような格好だろ。つーかオレは変態じゃねぇ!」

喧嘩腰でギャンギャン罵倒を交わすナツと青年。
ナツやルーシィと同年代っぽく見える彼は、確かにナツの言葉通り、ずいぶん薄着である。

…というか。はっきり言ってしまえば、パンイチである。

「…ジュナっち、なんでマスターの目隠してんの」

「教育に悪いと思いまして」

「いや、私そんな年齢じゃないんですけど…!?」

視界を遮られたまま突っ込みを飛ばすAに、ルーシィが苦笑いしながら近づいてくる。
おそらく彼らの喧嘩に巻き込まれたくないのだろう。

「ああなったら暫くは収まらないと思うから、あたしたちだけで総長(マスター)のとこ行きましょ」

殴り合いの喧嘩を始めた2人の横を通り過ぎ、Aたちはルーシィに手招かれてギルドの奥へと進んでいった。

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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年9月19日 1時

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