お騒がせギルド、妖精の尻尾 1 ページ33
翌朝、ドーリスの駅前。
「いざ別れるとなると寂しいもんだねぇ。ま、辛くなったらいつでも帰っておいで。アタシがいなくても、この町はアンタたちの味方だからさ」
見送りに来たサキが、名残惜しそうにAと握手を交わす。
Aの後方…駅の出入口付近では、列車での移動を嫌がって「歩いて帰る」と言い張るナツを他の3人が羽交い締めにしていた。
「色々と、お世話になりました」
「あぁ。こっちも助かったよ。ありがとね」
サキとAが別れを惜しんで会話を続けていると、3人の筋力に負けて駅構内へズルズルと引っ張られていったナツの悲鳴にも似た声が響く。
その声に、サキは苦笑いを浮かべてため息をついた。
「…そんなに列車が嫌なのかねぇ、あの坊やは。さぁ、アンタももう行きな。仲間に置いてかれたら堪んないだろ?」
「そうですね。…じゃあ、サキさん。お元気で」
「アンタたちも、元気でね。無理しすぎて怪我すんじゃないよ?」
せいぜい頑張りな、と手を振るサキに全力で手を振り返し、Aは他のメンバーを追いかけて駅のホームへ続く通路を急いだ。
その道中に等間隔で取り付けられている大きな窓からは、ガラス越しにドーリスの町並みが見えている。
たった数日ではあったものの、思い出の詰まった町から離れるのはやはり少し寂しい。
駅前から真っ直ぐ伸びるフルール通りをちらりと見遣れば、いつもと変わらぬ賑わいが通りいっぱいに溢れていた。
「…ばいばい、ドーリス」
最後にポツリとそう呟いて、Aは仲間たちの待つマグノリア行きの列車に乗り込む。
間もなく出発の鐘が鳴り、列車はマグノリアに向かってゆっくりとその車体を動かし始めた。
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作者名:空思鳴 | 作成日時:2020年9月19日 1時